夢小説

□低嶺の花
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仙蔵があまりにも愚かなので
私は言葉を失った。




「どうした大河内」

「どうしたもこうしたも…

シナ先生は高嶺にある高嶺の
そのさらに高嶺の花よ?
流石の仙蔵でも無理だよ、
諦めた方がいいって……」

「ほお、大河内は
私がシナ先生のものになるのが
嫌なのか?」

「阿呆!」


仙蔵は変わらず妖しげに
にやにやしている。


この様子じゃ止めても意味が無いな。

まあせいぜい頑張ればいい。
そして返り討ちを喰らって
少し懲りればいい。




「まあいいや。
とりあえず、命は落とさないようにね」


私はそう忠告すると、
お盆と食器を返し
仙蔵を残して食堂を出た。










その日の午後は、
始終仙蔵の事を考えていた。


いくら成績優秀で眉目秀麗な仙蔵でも、
シナ先生をオトせる訳が無い。



夜になる頃には、

もしかしてもう息絶えてたりして…

とまで考えていた。








翌朝、再び食堂で仙蔵に会った。


生き長らえたか…
と心の隅で思いながら、
今度は私が仙蔵の正面に座った。


「おはよう仙蔵。
ね、ね、どうだった?
失敗したでしょ?」


にやけながら私が訊ねると
仙蔵は目を細めた。


「貴様、私を誰だと思っているんだ。
目的は果たした」

「嘘…っ!?」


私は目を見開いた。





え…じゃあシナ先生は
仙蔵と恋仲になるっていう事!?




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