短編集

□恥ずかしがる君が見たい
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彼氏の研磨の家に上がるのは

もう何度目か分からない


いつも研磨のお母さんが出迎えてくれて

部屋に向かうと
2人きりで真面目に勉強を始める


帰り際に一度キスをしてから
家まで研磨が送ってくれる



これがいつもの流れだった






それが今日は
たまたま研磨の両親が泊まりがけで出かけていて


部屋どころか家の中で2人きり


たったそれだけの違いだった










「………研磨?」


通常ならお互い向かい合って机にノートを広げるのに
今日は何故か私の隣にピッタリと研磨がくっついていた


私の腰に手をまわして
肩に頭を乗せてくる


くっつきたがりなこんな姿見たことない


「なに?」

肩からこてんと首を傾けて
上目遣いで私を見上げてくる姿は
可愛いという言葉以外が見つからない


その余韻に浸る私の口に軽く口付けすると
じっとそのままの距離で見つめてきた


「なんか今日変だよ研磨」

「いや?」

「嫌じゃ、ないけど」

嫌じゃないけど心臓がもたない

こんなぐいぐいな研磨といると
今すぐにでも心臓が止まってしまうんじゃないかと思ってしまうほどだ


「今日誰もいないから
もっと来瑠実と触れ合いたい」


そう言ってシャーペンを持つ私の手に
研磨の手が重なると指と指を絡めてくる


握っていたシャーペンはもちろん転がり落ちて
それを合図かのように体重をかけて私を押し倒してきた



“触れ合いたい”の意味は多分そういうことなのだ


「続けても大丈夫?」


人がいないというだけで積極的になる研磨だけど
ちゃんと私の意思も聞いてくれる

付き合ってる以上いつかそういうこともするとは思ってたし

研磨相手なら嫌じゃない

けど






「恥ずかしい…」


その気持ちはこの状況のドキドキと同じくらいだ

研磨とついにするんだという期待と
身体全部見られちゃうんだという恥じらい


ハジメテだから尚更だ



研磨は一瞬目をぱちくりと見開いてから目を細めて笑うと
私の耳元に唇を寄せて優しく触れた


「嫌ではないんだね」


そう囁いた後にお腹から研磨の手が滑り込む

親指でお臍を撫でられて体が捩る私を
楽しそうな顔で見下ろしていた




下着がよく見えるほど服が上げられて
背中のほうに手が回る

ブラのホックを外そうとする研磨の手を掴んで待ったをかけた

 
私のその行動に
研磨はきょとんとした顔で見ている


でもなんだか手慣れた余裕顔の研磨が嫌だった

そういう経験をする相手がはいたことないと前聞いたことはあるけれど
もしかして経験あり?なんて考えが頭をよぎるほどに




だから
びっくりさせたい
初々しい反応をさせたい

そんな気持ちから研磨の服を勢いよく持ち上げて
上半身を露わにさせた


「研磨が先に脱いで」


私だけ脱がされるなんて不公平だと言えば

戸惑う様子も恥ずかしがる仕草も見せずに
研磨は片手で勢いよく服を脱ぎ捨てた
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