【何処かのお話】
□第1夜
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『ねぇ、"殺人鬼"って何だと思う?』
「・・・・・は?」
『一般人なら、"殺すのが好きな者"とかって言うとあたしは思うんだよ。でもさ、殺人鬼と呼ばれる者達全てが殺すのが好きだとは限らないだろ?例えばさ、"無意識で殺しちゃう殺人鬼"がいても不思議じゃないと思うんだよ』
「じゃ、"殺したくなくても殺しちゃう殺人鬼"がいてもおかしくない・・・って言いたい訳?」
『そうそう!よくわかってるね、君』
「どうも」
『さて、ここまでの話の流れ・・・てか、見たらわかると思うんだけどさ、あたしは"殺人鬼"の一人だ』
「そうだね、見ればわかるよ」
二人が淡々と話しているこの場所
一言でいえば、ここは"異常"である
二人の間には、かつて"人間だったモノ"が、今はただの肉塊の状態で転がっている
その周辺はとてつもなく"死臭"で満ちている
どこにでもある様な町の路地裏
少年少女は、そんな異常な場所にいた
『今までのあたしの経験から言うと、この場所で平気でいられる人は"狂ってる"と思うんだよね』
「それなら、僕は狂ってるんじゃない?」
『自分の事なのに、随分投げやりだね?』
「どうせ今何を言おうと、君は僕を"殺す"んだろ?」
『さっきも言ったけど、殺人鬼だから"殺す"訳じゃないんだよ?ま、そん時の気分次第さ』
「ふーん」
『そんじゃ、あたしはもう行くよ。君も早くここから去る事をオススメするよ』
少女は一方的に話を切り、姿を消した
「・・・・・結局、何が言いたかったのさ」
そして少年も、少女の忠告通り、その場を後にした
≪END≫
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今回はイラストはありません
次回から、載せます