オメルタ劇場

□戒めの楔
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「……っ…」

粗末な布切れが敷かれた寝台にJJは無造作に転がされ、小さく呻いた。
ベッドがギシッとしなり、手荒く放り投げられたせいでJJの背筋に鈍痛が走る。

夕食を終え、夜空に星が輝き出した頃。大きな木の根本に寄りかかって軽い眠気に襲われていた彼は、突然この『密林の虎』と呼ばれる男に髪を鷲掴みにされここまで引きずられた。

他人の感情になど別に興味はないが、男がやけにイラついていることが分かる。
理由は、多分今日の狩りで敵のヘッドを仕留めそこなった上に、去り際に放たれた銃弾に左腕を打たれたからだろう。
ーーと、いってもかすり傷程度のもので、取り逃がしたそいつも結局はこの男が追いかけて仕留めたのだが。

何人か負傷者は出たが、こちら側には死者は出ていない。

多少苦戦した感は否めないが、
狩りは成功したのになにが気に食わないのか。
分からないまま、JJが鈍痛に顔を歪ませていると、ビリビリと男の手により衣服が引き裂かれた。

抵抗しろ、逃げろ!!と、脳が叫ぶが、そもそも疲弊しきって立つことさえ困難だった身体だ。身体を逆さにしてもそんな余力は残っていなかった。
それでもなんとかしなくてはと力の限り抗ってみたが、成熟して立派な筋肉を持つ大人の男に腰を跨がれてしまっては身動きすら出来ない。

「やめろっ!放せよっ!放せっ!!」

JJはせめてもの抵抗とばかりに憎悪のこもった眼差しで男を睨みつけ、精一杯の罵声を浴びせる。
だが、それも圧倒的な力を持つ男の前では所詮形だけのものでしかない。
大人しくしていないと強制的に黙らせるぞと脅されて、なお喚いたが、男の拳が鳩尾に入りJJは唯一出来た抵抗すら封じられた。

床に、無造作に切り裂かれた布切れがあちらこちらにちらばっていくのを唇を噛みしめて、うっすらと涙の浮いた双眸で悔しげに見ていた。

「JAP、また傷が増えたな。かすり傷だがーー腕と、左の脹ら脛に一つ。ああ、ココもだな」

密林の虎は自分が剥いたJJの姿をしげしげと眺め、目を眇めた。
男が腰をかすかにあげ、JJの身体を裏返しては表に返し、隅々まで調べだす。

闇を溶かし込んだ様な黒い髪に、黒曜石の如く黒い瞳を持ちながら、JJの肌の色は透き通るほど白く滑らかだ。
線も細く、一捻りすれば簡単に骨さえ折れるだろう。
脆弱で、そのくせ威勢だけはいいJAPに、一瞬本気で骨を折って身体の自由を一切合切奪い取ってやろうかと思ったが、男は思うだけにとどめた。
毎度毎度、敵わないと分かっていながら抵抗するこいつには呆れるが、動かない人形や家畜に貶めるよりは生意気なほど五月蝿い方が楽しめると言うものだ。
狩りでも、静止した的を狙うより、動く獲物を仕留めた時の方が何倍もの達成感と高揚感がある。

ひとしきり調べ終え、密林の虎はニヤリと笑った。
何もしていないうちからJAPはぶるぶる小刻みに震えていた。
口だけは一丁前に強がっていたが、身体はこれからの行為に怯え、素直に怖いと訴えている。

何度も犯してやっているのに、こいつはまだ慣れない。
いく度となく身体を暴きたて、知らなかった快感と言う名の刺激を求めるように何度も味合わせてやったのだがまだ堕ちない。

こんな貴重な生き物はなかなかいない。

ーーだからだろうか?
普段執着などとんと縁のない密林の虎が、こいつにだけは興味が尽きないのは。

「いい加減にしろよっ。俺は疲れてるんだよっ!!さっさと寝たいんだ!!」
「はっ!何が疲れただ。笑わせるな。そんだけ減らず口を叩ける体力が有り余ってたら上等だろーが」

潤んだ瞳で睨みつけても効果など微塵もないのに、威嚇していると思っているらしいJAPに密林の虎はまた笑いが込み上げてきた。

狩りで付けられた傷が微妙な痛みを与えてきて苛立ちを抑えきれなかったのだが、そんな怒りもこいつの虚勢を前にしてようやく収まってくる。

「さて、と。んじゃあ、そろそろ始めるか。俺も明日に備えて寝なきゃならねぇが、それはお前をきっちりと寝かしつけた後だ」

密林の虎は一旦JAPの上から退き、そして、細っこい足首を掴み上げる。

自分の胸に膝が付くくらい折り曲げられ、無理な体制にJJはうっと息をつまらせた。

「やめ、ろよっ!苦しいっ!!足を下ろせっ」
「お前が自分で脚開くのならそうしてやってもいいが?」
「なっ……?!」

言われ、JJはかぁっと怒りに毛を逆立てた。

「誰が、そんな真似するかっ!馬鹿にするなよっ!」
「だったらもう少しこのままだな」
「嫌だっ、放せっ」

日中、密林を駆けずり回って疲弊した身体はもう寝たいと訴えていたが、これが終わらないと眠れない事を、JJは嫌というほど知っていた。
でも、それは抵抗しない理由にはならない。
大人しく男のオモチャになるのだけはゴメンだ。
結果的にどうなるかは別として、このままやらせたくはないという矜恃が彼にはある。

「やめろよっ!!変態がっ!」

足をバタつかせJJは自力で逃れようとする。

「ああ?誰が変態だって?」
「お前だよ!この変態っ!」

ぎゃんぎゃん喚き散らすJJに密林の虎は睨みを効かせた。
途端、ビクッとJJの肩が跳ねる。
射殺されそうな鋭い眼光に、唇がわなわなと震え出す。
すでに幾人か人を殺めた身でありながら、経験の乏しいJJはまだ密林の虎の圧力に押されてしまう。

他人を殺める事にも血を見る事にも耐性がついても、自分に与えられる痛みには彼はまだ弱い。JJにとって密林の虎は嫌悪すべき相手であり、自分を縛る絶対的な支配者であるから尚更恐怖は倍増されていく。

「いや…だ、……やめてくれよ」

JJの拒絶が哀願に変わる。人を屠る時でさえ揺るがない気の強さが伺える瞳が、逃げ場のない恐怖を予感して許しを求めるそれになる。
良心があるならここで開放してやるのだろうが、密林の虎には良心などというものは無論ない。

「頼むからっ…やめてっ…」

必至で乞われる分だけ、密林の虎の嗜虐心を煽ることを彼は知らない。

「今更しおらしくしても無駄だ。ーーー手間かけさせた罰だ。ほぐしてやるなんて優しい真似はしねぇぜ?痛い思いをしたくねえなら、精々力を抜いてるんだな」

くくっと喉奥で密林の虎が嗤うのを聞いて、JJはひいっ!?…と無様に喉を鳴らしてすくみ上がった。

わなわなと怯えるJJに見せ付けるようにして、密林の虎は下肢を寛げて立派なそれを引き出す。

逃げ腰のJJの脚をさらに折りたたんで角度を調整し、硬く閉ざした秘孔に押し当て、ねじ込んでゆく。

……ピリッと、JJの淵が少し裂けて血を滲ませ…彼は襲われた痛みに絶叫した。

「…あっ、あっ!?やっ…やぁあっ、……イタイッ!痛いッ!」
「暴れるなっ!ちょっと裂けたくらいでうるせぇんだよ」
「ひぃいっ、……やだぁー…!いた…ぃいっ」

無理やりこじ開けられる恐怖と、押し当てられた物の熱さとその肉茎の大きさにJJは堪らず目を見開いて叫びまくった。
自分の未成熟な物とは比べ物にならない物が、到底入りそうもないデカさの物が狭隘な蕾の中に入ろうとしている…!!

「助け…てっ!!やめてっ!誰……かぁ!たすけて……!」
「うるせぇよ。……ぁあっ、くそっ、狭いなっ。おい、JAP!もう少し緩めろっ。入らねえだろうが!」

密林の虎はガンガン腰を打ち付けて飲み込ませようと躍起になったが、解していない蕾は頑なで先っぽをいれるのが精一杯だ。
緩いのは論外だが、こうもキツくてはどうしょうもない。

「おらっ!とっとと咥え込めよっ。楽になりてぇんだろーが!」
「いやだぁあっ!!やめて…っ、もぉ、……無理っ、だっ!」
「無理なわけねえだろ。昨日も一昨日も、ずっぽり咥えてただろうが」

それは事実だったが、どんなに密林の虎が語気を荒げて真実を突きつけて脅しても、JJはそれどころじゃない。

こうなったら早く終わらせるしか方法がないと半ば諦めていても、身体が言う事を聞かない。

痛くて、痛くて、堪らないっ!!

あまりの痛みにどうすればいいのか分からなくて、目がチカチカする。
力を抜けば楽になれると知っていても、恐怖にすくみ上がった下肢は硬直して動かない。
自分の身体なのにどうしていいか分からなくてJJは錯乱する。

「ぁあっ、イタ…痛いっ!!やっ、だぁあー!」

悲鳴をあげ、涙をボロボロ垂れ流してJJは泣く。

密林の虎はチッと、忌々しげに舌打ちした。
このままじゃ拉致があかない。
強制的にでもこの締め付けを緩めさせるしか方法はない。

ふと考え、密林の虎はうっすらと茂った草叢の中でちぢこまって震えているそれを無造作に掴み上げた。
すっぽりと手の中に収まるそれは未熟で、精通を遂げて間もない証拠にいかにも清純な色をしていた。
密林の虎はまず爪先で先端部分を覆う包皮を剥ぎ、小さな孔を露出させグリグリとえぐってやった。
神経をむき出しにした敏感な場所を根気強く刺激し、双珠をぐにぐにと掌と指で転がす。

そんな事をされては大人だってなかなか耐えられないのに、JJが我慢できるわけがない。

「ひっ!…あっ、…ぁあっ、やぁあっ、…なっ、はぁっ、やぁあ…!」

JJを苛む苦痛が消えたわけではないのに、それを相殺する快楽を与えられ彼は嫌だぁと叫びつつ懊悩した。
叫んではいたが、その中には先程までなかった甘やかな響きがある。
引きつっているだけだったJJの相貌がとろりと和らぎ、頬が赤く染まっていく。

ーー痛いけど、でも、気持ちがいい。

小さな孔を抉られて、じわじわと溢れだした先走りの透明な雫がJJの竿をぬめらせる。
双珠を弄ばれて、内腿がビクビクと痙攣し始める。

痛みと快感。相反する刺激を逃がす術を知らないJJはただ波にのまれて翻弄される。

「ぁあ…、ふぅんっ!…あはぁっ……あ、っ、ぁあ…」

次第にJJの強張りが溶け、彼は熱い息を吐きながらもじもじと腰をゆすり出す。

蕾の締め付けが、密林の虎の思惑通りに緩み出す。
これを待っていた密林の虎はJJの痴態に煽られて更に膨れ上がった己を埋め込んでいく。

びっしりと絡みついた柔襞を掻き分けて、三分の一が入る。
そして、腰をすこし戻して、もう一度押し進めると、今度は半分以上が収まる。
JJは意識してやっているのではないだろうが、襞がキュッと雄を程よい力加減で締め付け、密林の虎は不覚にも感嘆の溜息を付いた。

「もう少しだ。次は一気にいくぜ?」

やわやわとJJをあやしながら密林の虎は一気に腰を進め、JJは口の端からよだれを垂らして「あぁっ…」と、一度ビクッと身体を跳ねさせ嘆くような悲鳴を上げた。

全てをようやく収め、密林の虎は思いの外苦戦した事に苦笑した。

「どうだJAP。ムリじゃねぇだろうが。お前の中にちゃんと全部入ってるぜ!」

それを自覚させるために密林の虎は深く繋がった部分をグルっとまわした。

肉茎をあやされる手の動きがやみ、灼熱の楔が自分に穿たれたコトをこの時JJは霞む意識でようやく理解した。

「ほら、どんな感じがする?」

現実を見たく無くて、自分に起こっている事を認知したく無くてキュッと瞳を閉じたJJに密林の虎は耳元にくちびるを寄せて聞いた。

「俺が、お前の中にいるんだぜ?なぁ、どんな感じだ、 JAP?」

しばらく無言が続き、それでも密林の虎が待っているとJJは戦慄く唇をなんとか動かして目をつむったまま言葉を紡ぎ出す。

「熱い……、太…いのが、ぁあっ、俺の…なか…ある…ぅうっ」

たどたどしく、熱に浮かされたように口走るJJに、密林の虎はうっそりと笑んだ。

「ドク…ドク…って動い…てる…」

「そうだな。それが俺だ。気持ちがいいか?」

「分か…ない、…でも、中っ、すごくっ、熱いっ!」

「それは俺じゃ無くて、お前の中が熱いからだ」

素直に、言われたコトに応えている時点でほぼJJが理性を飛ばしている事が伺えたが、それでも密林の虎は繋がりを解こうとはしない。

「お前をこれからもっといい気持ちにさせてやる。うれしいだろ?」

言われ、JJは首を横に降った。

それは、否定。

一瞬、まだ拒むだけの余裕があるのかと勘ぐったが、ただの条件反射のような物らしい。
もう満足に思考が働いていないのに、最後まで抵抗するJJにはさすがの密林の虎でさえ舌を巻く。

密林の虎はほっそりとした脚を持ち上げ、ぐっと胴をねじ込ませ、律動を開始する。
思いっきり締め付ける事しかできなかったそこは、密林の虎を内包して、柔らかく柔軟さを示していた。
動かすと、ちゅぷぅっと音を立てて、淵が程よく吸い付いてくる。

「……いい、具合になってやがるなっ、と。んっ…ほら、もっと腰を振れ。自分からねだってみろよ」

背中をしならせ、もうことばもろくに発せない身体を密林の虎は思えさま揺さぶる。

「…ぁあ、あっ、あっ、あ、…はあっ!ンっ、…ァアっ!!」

嬌声をあげ、涙を流し、顔をグチャグチャに濡らしているのに、なぜだろう。
普段は生意気なだけのJJは、この年にはふさわしく無い確かな色香を滲ませていた。

「ぁあっ?!…ま…た、おおきく…なっ…たぁ!!」

煽られ、当てられ、溶かされて。駄目になっていたのは密林の虎も同じ。

密林の虎は突き刺した肉棒を、一層激しく抜き差しし出す。
JJを煽るためでは無く、もう限界が近かった。

「ぅうっ、もぉう、…ぁあ、あ、だめだからぁ、イッて!!お願っ…早くぅ…ぁあ、イッて…ぇえっ!!」
「分かってるーーーほら、行くぜ!全部持って行け!!」
「あっーー!ぁひあぁああーーー!!」

密林の虎にとどめのひと突きをくらいJJはどこまでも響き渡りそうな高らかな悲鳴を上げた。

最奥にねっとりとした熱い迸りを受けとめきって、ようやく勤めを果たしたと思ったのか。

密林の虎が全てを注ぎ込んだ直後、JJもビュクッと放埓を迎え、達した余韻に浸るわずかな時間も惜しむようにーーー糸がきれたかの如く気絶した。



小さな寝息が響く中、まだ達した余韻に浸っていた密林の虎は、ゆっくりと繋ぎ目をといていく。

……ドロっとJJの中から粘液が垂れてくるのをしばし、鑑賞し、悦に浸り、密林の虎はおもむろにJJの髪を撫でーー口の端を吊り上げた。

「良かったぜ、JAP。これからも俺だけを楽しませる為に、お前は生きろーーーーお前を愛してやれるのは俺だけだ」

歪んだ独占欲だと言う事を承知の上で、密林の虎はJJを生涯囲い続ける未来を、その脳裏に思い描きーーー未だ冷めやらぬ欲望を鎮めるために、夜の冷たい夜気にあたりに外へと出て行った。
 

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