オメルタ◆魔王と死神

□俺達のとある日常。
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「…おいっ、よせ、劉!分かっているのか?今はパーティーの真っ最中だろ?!アンタが招いた政治家やらどこぞのお偉いさんやらが大勢集まってるんだぞ?!!こんな事している時間はないはずだ!」

トイレにいくと言う劉に従って後を追い、ドアを開けたとたん背後から突き飛ばされ、咄嗟に洗面台にしがみつく。途端、背後から劉に腕を回され、カチャリと言う音が耳に届きベルトをはずされたことに気がつく。抵抗する間もない早さで、今夜のパーティーへ着て行くようにと劉から渡されたスラックスと、ついでに下着をまとめてずり下ろされて、俺は抗議の声を上げた。
剥き出しになった尻を爪が食い込みそうなほど強く掴まれ、肩越しに劉を睨む。
瞬間、交差した互いの視線がーーー絡み合った劉の視線が研ぎ澄まされた刃のように突き刺さり、俺は鼓動を跳ねさせた。劉はそんな俺に、冷たく一瞥を投げた。

「キャンキャン喚くな。そんな事貴様に言われずとも分かっている。だが、私とて休息は必要だ。あんなクズどもの接待など、延々としていられるか。貴様だってそうだろう。つまらなさそうな顔で立っていたではないか」
「それはそうだが、俺とアンタじゃ立場が違う!俺が居なくても支障はないだろうが、仮にもアンタは主催者だろ?いつまでも客を待たせるわけにはいかないはずだ!!」

なんとか思いとどまさせようと説得を試みる。だが劉は煩わしそうに眉間にシワを寄せた。ただでさえ悪かった劉の機嫌を損ねてしまったのは分かったが、今さら口から出た言葉は引っ込まない。

「うるさい奴だ。そこまで私に戻って欲しいと言うのであれば不本意だが、早く終わらせてやるーーーだから精々大人しくしていろよ?」

劉が片手で俺をねじ伏せ、俺に見せつけるようにスラックスの前を寛げる。
取り出された劉の赤黒く立ち上がった雄蕊に、俺はこんな状態だと言うのに、その猛々しさに釘付けになる。
まだ完全ではないのに充分な大きさを誇るそれに幾度となく貫かれたときの苦痛を思いだし、腰が引ける。

「おいっ、冗談だろ?まさか、本気でここで始めるつもりじゃないだろうな?!」

怯えて頬がひきつる俺を嘲笑うように、劉は悠然と笑んだ。

「今更場所など気にする必要はあるまい?私は抱きたくなったらどこだって貴様を犯す。貴様だって分かっているだろ?」
「誰か来たらどうするつもりだ?会場から離れているとはいえ、ここのトイレに客が来ないと言う保証はないんだぞ?!!アンタだってこんなところを客に見られたら体裁が保てなくなるだろ?!」
「私は別に構わない。何だったら今からパーティー会場に戻って、奴らの前で貴様を犯してやろうか?年老いたジジイどもには刺激が強すぎるかもしれないが、いい余興にはなるだろう」

冗談とも本気ともとれる、悪辣な微笑を刻む劉に、俺はただ息を飲む。
公衆の面前で犯される己の姿が鮮明に脳裏に浮かぶ。劉はやるといったらやる男だ。それがいかに常識はずれであろうとも気にも止めない。

劉の考えていることは、俺には計り知れない。だが、最早劉がやめる気がない事だけは俺にだって分かる。
どうせ犯されるのなら、例えトイレだろうと、立ったままだという不自由な体制だろうと、公衆の面前で犯されるよりはマシだ。
俺は覚悟を決め、全身の力を抜いて洗面台にしがみき、劉に向かって腰をつき出した。
見えてはいないが、背後にいる劉が、ニヤリと笑うのが気配でわかった。

「ここで犯されたいのか?大勢の観客がいる方がいいのではないか」
「いいから、ここでしてくれ」
「仕方がないな。いいだろう。ここで貴様を犯してやろう」

劉に腰を抱えあげられる。爪先立ちになった俺の尻の狭間に熱いものが押し付けられる。

「ーーーっぁあっ、くぁあぁあーーー!!」

劉は躊躇う事なく己の楔をJJに打ち込んだ。
なんの前戯もなく、濡らされても解されてもいない秘部に劉のモノが侵入され、体内に熱い楔を捻じ込まれJJは背筋を反らせて絶叫した。
快楽などという甘さの微塵もない苦痛に満ちた声音がトイレの壁に跳ね返る。
声を抑えなければと心の片隅で思っていたが、実際にはそんな余裕などない。
劉に背後から鷲掴みにされた双丘を無理やり左右に割られ、口を閉ざしていた粘膜を劉の楔で無理やり押し広げられていく。引き攣る内部の感触に内腿が怯えたようにビクビクと痙攣し、押し入ってくる劉の大きさに圧迫されて胃液がせり上がりそうになり、俺の目尻から生理的な涙が零れた。
劉は苦悶するJJには構わず腰を進めるーーーが、乾いたそこへの侵入は容易ではなく、半分ほどでつっかえしまい、舌打ちした。

「おい、この位一気に呑み込まないか!」
「くぁあっ、…あ、あっ、そ、そんなの無理だっッ……!」

真っ二つに身体を切り裂かれる恐怖に耐えきれず、俺の口からはひっきりなしに苦痛に満ちた喘ぎ声がこぼれた。
だが、事の元凶である劉は喉の奥で楽し気な嗤いを漏らし、JJの悲痛な叫びにうっとりと口の端を釣り上げた。

「どうした。まさか痛いのか?ククッ、これくらいどうってことは
ないだろう?昨日もあれだけ解してやったのだ」
「だからって…いきなり…なんて無理に決まってるだろっ…!」
「だらしがないな、これくらいのことで。もたもたしてないでいいからさっさと呑み込んでしまえ。このノロマ」
「ひっ?!!やッ…ぐぁ、…ひぃぁあぅあぁあ"ーー!!」

ベッドに押し倒されて四つん這いで背後から貫かれる事はザラにあるが、それでも全くのぬめりを借りない挿入には慣れていない。いつも身勝手で、強引で、俺の意志など関係なく劉は俺を抱く。
劉の行動は予測がつかない。
終始笑顔で接待していたかと思えば、次の瞬間にはコレだ。
怒りをぶつけるかのような手荒い挿入に、JJは軽く苛立ちを覚えるが、それを劉に悟らせる訳にはいかない。


「下らないおしゃべりで辟易しているのだ。少しくらい貴様が私を楽しませろ」
「分かって…る」

命令され、俺は力を抜くことに専念する。このままでは最後まで飲み込むことはできないし、何より苦痛が半端ない。とにかくこの苦痛を取り除かない限りどうにもならない。
俺は朦朧としながら自分の下肢に手を伸ばした。
自身の雄蕊を手に取り、握りしめる。
これほどの痛みを与えられていると言うのに、俺のモノはほんの少しだが立ち上がりかけていて、己の浅ましさに内心で失笑する。
劉の手腕により苦痛すら快楽として受け取れるようにされた己の身体の変化に、劉と過ごした時間の長さを感じる。

「……ぁあっ、ん、……ふぅ…」

俺は無心で自分の雄蕊を扱いた。
上から下にクニクニと揉み、括れに爪を這わせてなぞりあげる。
とくりと先端から滲み出してきた先走りを全体に塗り込め、小さな蜜口に爪を立てる。
背筋をゾクゾクとしたしびれが駆け抜け、俺は更に大胆に指を動かした。

「…ふぁ、んぁっ…くっ…ふっ」

自慰にふけるJJを、劉はくくっと笑いながら背後から鑑賞していた。男に貫かれながら自身の竿を愛撫している護衛の浅ましい痴態にしばし腰の動きを止めてやる。
ついぞ取り澄ました顔しか浮かべない死神が、娼婦のごとき振る舞いを見せているのは滑稽であり、ひどく艶かしい。

「仕方がない、私も手伝ってやる」

自身を扱くのに夢中になっているJJを、傍観することにあきた劉が背後から抱き起こす。
前のめりになっていたJJを胸に持たれかけさせ、劉はJJのシャツを捲りあげた。
胸で息づく二つの尖りをそれぞれ両手で捕らえ、愛撫を施してやる。
あらぬ箇所から生じた甘い疼きに俺は我に返る。

「やっ、劉っ……そんなとこっやめろっ」
「気持ちがいいくせに、何を言う。貴様は大人しく自分を可愛がっていろ」
「ふぁっ、ンンッ……やめぇっ」
「言っておくが、私の許しなしに勝手にイクなよ?貴様が、悦しむのは私を楽しませてからだ」

忠告され、俺は愛撫していた肉茎の根本をギュッと握りしめた。
劉に性感帯として開発された乳首を弄られて下肢に甘い刺激が走り抜ける。
緩やかな、もどかしさすら感じるそれは、だが気を抜けばあっという間に絶頂へと導かれてしまうことを俺は嫌というほど学習している。
コリコリと爪で転がされ、片方は摘ままれ、バラバラな感触に脳が揺らぐ。
無意味としか思えない存在が、こうして劉に弄られるとどうしようもなく感じてしまう。水面に波紋が広がるように、緩やかな愉悦が込み上げる。

「おい、顔をあげて前を見てみろ」

劉に促され、俺はノロノロと顔をあげた。
見れば目の前に、頬を紅潮させ、瞳を潤ませた青年が快感に蕩けた表情を浮かべてこちらを伺えっていた。
ひどく艶かしく、男の癖に妙な色気を纏わせた男だ。
誰だろうと、呆けた頭で俺は思うが、見慣れた顔なのにそれが誰だか分からなかった。

だから劉に「どうだ?ひどく艶かしくて犯してやりたくなるだろ」と、問われ、素直に頷いた。

劉が可笑しそうに苦笑する意味さえ、今の俺には分からなかったが、おれにはもうどうでもよかった。身体が、劉を欲しいと渇望し出す。

「…ふぅうっ…ンンッ」

全身を紅潮させ、JJはモゾモゾと腰を揺らめかせた。
隙間なく劉を埋め込まれていたというのに、いつの間に余裕ができたらしく劉に肉茎で蕾を捏ね回されても痛みを感じなくなっていた。
内部が潤み、襞が捩じ込まれた肉棒をしゃぶるような動きを見せる。
蠕動しだした隘路は次第に口を開き出す。

「り、劉……っ」

今なら受け入れられるだろうと確信し、俺は劉を振り替える。

「なんだ?拒んでおきながら今度はおねだりか?」

クックッと、笑いをこぼす劉をその気にさせようと俺は自ら誘うように一層淫らに腰を揺らめかせた。
無理やり押し込まれたときは苦痛だけだったが、身体がほぐれた今となっては中途半端に挿入されている方が辛い。

「頼むから、早くアンタを…味わわせてくれっ」

言って、きゅっと劉のモノを締め付けてやる。劉がくっと唇を噛み締める。

「劉…早くっ、……お、俺の奥を思いっきり突いてくれ」
「そう急かすな。焦らずともくれてやる」

拒んでいたのにすぐに受け入れてしまう俺の浅ましさを罵しられるだろうと心のの片隅で思ったが、劉はいつもの憎たらしい笑みを浮かべた。
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