陽光 その二
□呼名
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「よーし、明日は全員、呼び捨ての日にする」
夕食を食べている時、突然リュウガが言った。
「呼び捨て?」
ハヤテが、怪訝な顔をした。
「おう。船内に新たな風を吹き込んでみようと思ってな。明日は全員、それぞれを名前で呼び合え」
「名前でって、リュウガ、とかハヤテ、とか?」
ソウシが笑いながら確認する。
「そういうことだ。特に、ヒロインとトワ。明日は、『さん』だの『先生』だの『船長』は禁止だ。気をつけろよ」
「えええーっ」
早速トワが、呼び捨てなんてできないかもしれないと、悩みはじめた。
「『ドクター』も禁止ですか?」
シンがリュウガに確認する。
「ああ。名前の呼び捨て以外は禁止だ。シン、『お前』も使うなよ?」
リュウガがニヤリと笑う。
「あははは。明日は、みんなに名前で呼び捨てにされるんだ。面白そうだね。じゃあ、私をうっかり呼び捨てし損ねた人には、薬の実験体になってもらおう」
リュウガの提案に、面白がって便乗することをソウシが宣言する。
「げっ…。実験体かよ…。おい、トワ、がんばれよ」
ハヤテが、トワの背中をたたいた。
「人の心配より、ハヤテ、『ナギ兄』も禁止だからな」
リュウガが釘をさした。