陽光 その二
□告白
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「はぁ……」
ヒロインが厨房で何度目かのため息をついた。
ナギが横目で見遣ると、物憂げな横顔が見える。
「今度はどうした?」
ナギにしてみると、こんな表情をしている時のヒロインの悩み事は、シンに絡むことで、直接シンに言えないことが多い。
「え?」
「また、シンのことで、何か悩んでるだろ? 黙っててやるから、話してみろ」
途端に、ヒロインの頬が赤くなった。
「いえ、その、さすがに、ナギさんには言えません…」
珍しく相談できないと言われて、ナギの心の奥が微かに痛む。
「……そうか」
「すいません。その、ちょっと…ごめんなさいっ」
耳まで赤くして、逃げるように厨房を走り出ていくヒロインを、ナギはかなり驚いて見送った。
いったい、何を悩んでいたというのか。
もしかしたら、シンにものすごく恥ずかしい行為を強要されているとか……ないとは言えない。
または、シンが今現在、ヒロインがあそこまで恥ずかしがるようなことをさせているとか……それも、ないとは言えない。
なんとなく、いけない想像をはじめてしまったナギが、首を振り、口許を引き締めて調理に意識を戻した。