短編

□法律上家族
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あたしには高校二年生の義理の兄がいる。

あたしは母さんに佑助とは血が繋がっていない、と聞いた。
それ以来、あたしはお兄ちゃんに特別な感情を抱くようになった。


家族でも、友達でもない、特別な存在。


「うわ、こっえー」


当の本人は、だらしない格好でテレビでやっているホラー番組を、ガタガタ震えながら見ている。

…あたしはどうしてこんな兄を、好きになってしまったのだろう。


ぎゃああああ!?

「…お兄ちゃんうるさい」

「じゃ、じゃあ瑠海も見てみろよっ!」


血が繋がっていない事を知る前は、本当にただの家族にしか見えなかったのに。

今も家族なのは変わりないんだが。


「さっさと見ろよ…もしかして怖いのかぁ?」

「怖くなんかない!」


お母さんも家にいなくて、今はお兄ちゃんと二人っきりなのに、甘い空気になんかならない。
なる方がおかしい。だってあたしたちは兄妹だから。

れっきとした、家族。


あたしはお兄ちゃんの隣にぎこちなく座った。

どうあがいても、この距離は縮まらない。


「あ、もうこんな時間かー。風呂入ろ」


お兄ちゃんはめんどくさそうな顔をして、風呂場へ歩いて行った。
あたしはテレビを消して自分の部屋に戻り、ベッドに寝転び大きなため息をついた。


…やっぱりだめなんだ。妹が兄を好きになったら。
少なくとも、お兄ちゃんはあたしを家族の一員だとしか思っていない。


「……お兄ちゃん…」


あたしは気づかない内に、眠りについていた。






目を開けると、いつもと変わらないあたしの部屋の天井が視界に入った。

時刻は深夜の1時30分。


(変な時間に起きちゃったぁ…)


あたしは上体を起こし、数分ぼーっとしてからお兄ちゃんの部屋に行った。


「お兄ちゃん…」


お兄ちゃんは情けない格好で、よだれをたらして寝ていた。


「お兄ちゃん」


あたしがもう一度呼ぶとお兄ちゃんは目を開け、勢いよく上体を起こした。


「うわっ!?ちょ!びっくりさせんなよ!」

「…ごめん」

「………何だよ、こんな時間に」


お兄ちゃんは眠そうに目をかきながら言った。


「…寂しくて…」

「…彼氏いねぇもんな」


あたしだって、女の子なんだよ。
好きな人に急に会いたいって思うときぐらいあるよ。


「怖いの見て…怖くて寝れない…」

「…あ?」


お兄ちゃんはいつも、どうしてそんなどうでもいいような目であたしを見るの。
あたしが妹だから?


「……そんな怖いのか?」

「…うん…」

「…じゃあ…床で寝てろよ」

「え?」


お兄ちゃんは頭をガシガシとかき、寝転んで布団をかぶった。


「でもその代わり!俺は布団敷かねぇから。自分で敷けよ」

「…うん!」


あたしとお兄ちゃんは、家族。
あたしは、そのお兄ちゃんに恋をしてしまった。

叶わない恋。でも恋は自由。誰が誰を好きであろうと、恋は恋。


恋はするしないの問題じゃない。勝手にしてしまうものなんだ。


「お兄ちゃん」

「………」


返事がなかった為、お兄ちゃんの顔を覗いて見ると、お兄ちゃんは寝息をたて寝ていた。


「好き」


あたしはお兄ちゃんの唇をかすめ取るように、キスをした。








法律上家族
(あたしはお兄ちゃんが家族だと思えない)



end.


あとがき(反省会)
佑助×瑠海。いや、佑助←瑠海ですね。

あたしならあんなにかっこいい兄がいて、しかもその兄と血が繋がっていないと知ったら、間違いなく襲ってます←

それにしても瑠海、可愛いです。
この前のアニメでも瑠海が登場しましたが、あの可愛さときたらヤバイです。
ボッスンも相変わらず男前で、テンパった時の表情が凄く愛らしいです。

藤崎兄妹だいすきです。



管理人.陽
2011/05/20

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