蒼い月の物語

□七
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『ぎゃん!』




闇から飛び出たと思ったら地図から消えた街にいた。…あれ?もしかして無事に来れましたパターンなの?きょとんとしていると一瞬の殺気を感じて其方を向いた。



『…!?』




見ると確かに其処にいたのは蒼真だった。…一瞬見えた瞳は紅くなっていて、確かに覚醒をしていた。私が居ない間に何が起こったのか解らず軽いパニックになっていると入り口の方からユリウスおじさん…?が走ってきていた。



『ユリウスさ…』



「誰だ?」



『…えっ?』





呟かれた言葉は私を呆気なく叩き落とした。




『笑えない冗談はやめてくださいよ…?ねぇ、ユリウスさん?』




認めたくないけれど、私ならばありえないことじゃない。まずこの世界にいたことがまずありえないことなんだから。…ううん{あの}世界だね。きっと。





「…すまない。」




『そうですか…。あの、もしよけれれば…私もついて行ってもいいですか?』





もしあれがそうならば…蒼真ならば、私は止めなければいけないんだ。約束したから。




「しかし…一般人を連れて行くわけには。」



『私…蒼真を助けなきゃいけないんです。』




彼の名前を出せば動揺を見せた後で困ったように首を縦に振った。




「しょうがない…ただし何かあったときにはすぐに逃げること。いいな?」



『分かっています。それに私は…。』



いけないいけない。これについては有角にしか言えないよね。だってヘタに知られるわけにはいかないもの。




「…どうした?」



『いえ、なんでもないです。』




そういって蒼真と二人で歩いたところを進んでいく。ヨーコさんに会い、ヨーコさんと声をかけようとしてしまった。いけないいけない。




「貴女、名前は?」



『あっ…名無しさん・名無しさんです。よろしくお願いします。』





なんというか…すごい違和感だよね。だって私は向こうを知っているのに向こうは私を知らないんだから。…って最初はそうだったけどさ。




「そう。名無しさんちゃんね。よろしくね。」



『はい。』




もしかしたら有角も私が分からないかもしれない。…でも、もしかしたらに賭けてみたいんだ。だってもしかしたら悲しい運命を回避できるかもしれないじゃない?




「蒼真くんと約束…したんでしょう?大丈夫よ。きっとわかってくれるわよ。蒼真くんだもの。」




『はい。ありがとうございます。ヨーコさん。』





どうしてこんなことになってしまったのか分からないけれど、私はここでやらなければいけないことをするから…。





「行こうか。」




『はい。分かりました。』





それから何とか先に進んでいく。なぜか私と蒼真で倒した敵も生き返っていてあぁ、ここはしっかりとパラレルワールドなんだなと思ってしまった。





「ちょっと名無しさんちゃん!なにをボーっとしてるの!?」



『…あいつは私が片付けます。ヨーコさんとユリウスさんは下がっていてください。』





すっと前に出ればバロールはこちらをみてこぶしを振り上げた。悪いがこの程度今の私の敵ではない。
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