蒼い月の物語

□七
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『ふぅ。』



特に何もなくあっさり戦闘を終わらせてしまった。ユリウスさんとヨーコさんを見ると唖然としていた。






「名無しさんちゃんってよく動くのね…。」




『あんまり自覚はないんですけど…ありがとうございます。』




あの時は蒼真くんを庇いながらの戦闘だったから多少の怪我は有ったけど今は二人に離れてもらっていたからね。そこまで負担にはならんかったよ。





『…行きましょうか。』




「そうね。ユリウスいい?」





ヨーコさんが指したのは間違い無く青いブロック。…ユリウスさんで壊せるの?





「…よし。」




…ナンテコッタイ!綺麗に階段つくりあげたよ。いらないよこの技術。




『…早く先に進みましょうよ。』





純粋に早く進みたいよ。蒼真、大丈夫かなぁ…。





「名無しさんちゃんてば不安な顔しすぎよ。蒼真くんなら大丈夫。信じてましょう?」



『ヨーコさん…はい。ありがとうございます。』





私が不安になってどうするの。蒼真を助けるんだから。
ぎゅっと握りしめた拳はそっとヨーコさんの手に包まれた。




「別に名無しさんちゃん一人で抱え込めって言っているわけじゃないの。私たちだって一緒にいるんだから頼ってくれたって構わないのよ?ただ、不安がらないで大丈夫ってことを伝えたかっただけなの。」






そういってニコリとほほ笑んだヨーコさんはまるで私の知っているヨーコさんとおんなじで、自然と安心することができた。






『…ヨーコさん、ありがとうございます。』




「お礼なんていらないわ。それよりも名無しさんちゃんが笑っていてくれたほうが私としては嬉しいんだけれども…。」





ほほ笑むヨーコさんにつられて私も漸くほほ笑むことができた。






「さぁ!先にすすみましょう?蒼真くんが待っているわ!」





そういってヨーコさんはすたすたと歩いて行ってしまった。

ねぇ蒼真、私たちの気持ち、伝わっていますか?私たちはこんなにもあなたを想っているんだと、気づいていますか?
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