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□君にとって俺は何なの
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知ってました。エメットさんが俺何かじゃなくて、素敵な女性達と一緒に居ることを。
前は、好きだったエメットさんに突然告白され俺は浮かれていた。だが、そんな幸せはすぐ終わった。
付き合って1ヶ月程経った頃。仕事が終わった俺はエメットさんと帰ろうと、サブウェイマスターの控える執務室に立ち寄った。


『失礼します、名無しさんです』

「入りなさい」


返ってきたのはエメットさんではなく、インゴさんの声。執務室に入ると、そこにはエメットさんの姿は無かった。


『エメットさんは?』


するとインゴさんは眉間に皺を寄せ、くわえていた煙草を灰皿に押し付けた。


「エメットは急ぎの用事があると、急いで帰りました」

『…そうですか』


失礼しました、と頭を下げ執務室を出る。


『しまった…、』


外はいつの間にか雨が降っていた。傘を持って来てない俺は雨が降る中、街中を走った。街中はいつも以上にきらびやかに輝いているような気がした。そんな輝いている中、俺は見たくないものを見てしまった。


エメットさんだ。綺麗な女性と1つ傘の中で微笑み合っている。思わず足が止まり、涙が溢れ出す。エメットさんは女癖が悪いと噂にはなっていたが、本当だったなんて。
もどかしい感情が出始める。このもどかしさを何処にぶつければいい?
溢れる涙をこれ以上出さない様に手で押さえる。


「名無しさん…?」


振り向けばそこにはインゴさんが立っていた。インゴさんは静かに俺に近付くと傘をかざしてくれた。


「何してるんです、こんな雨の中」

『頭、頭を冷やしていました…』


インゴさんもエメットさんを見つけ、はぁ、と溜め息をついた。


「名無しさん、貴方も知っていたでしょ?エメットの女癖の悪さは」


呆れ声でインゴさんは鞄からタオルを出し、俺に渡した。


『…』

「エメットなんて、あんなものですよ…」

『……っ、』

「名無しさん、」


名前を呼ばれインゴさんを見た瞬間、生暖かいものが唇にあたる。それがインゴさんの唇だと気付いたのは数秒後だった。


『インゴ、さん…!』

「ワタクシにしなさい」


そう、俺の耳元でインゴさんは囁いた。
甘い甘いトーンの低い声。身体中に鳥肌が立つ。


「エメットよりワタクシの方が貴方の事を愛しております、だから…」


インゴさんは静かに俺を抱き締めた。
感情が頭が、まるで10万ボルトをくらったかの様に麻痺している感覚になる。

ああ、いっその事、雷に撃たれて死んでしまいたい。

それでもこの街中はきらびやかに輝いているだろう。



(泣いても泣いてもまだ足りない)
(もどかしい感情が全く消えない)


(君にとって俺は何なの)




―――――
続きそうです
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▽←主←▲……、エメットさんは誰が好きなのだろうか?
久しぶりの更新でした
お題はmujun様から御借りしました。

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