雨漏り食堂
□お
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佐東と話した後、家に帰った黒乙女は、沈むようにして眠りについた。
翌日、沈んだ気分で、肆亜は学校に向かった。
朝、起きてきた暁誉に、顔色が悪いと心配されたが、彼の制止を振り切り、登校した。
ただ、いつもと違うのは、今日の登校時間は、少し遅いことだ。
教室に入ると、すでに人が何人かいた。
肆亜は、自分の席に着き、だからといって本を読む気にもなれず、ただぼーっと前を見つめていた。
「肆亜、おはよう」
その声にはっと振り向くと、少し悲しげな顔をした雨深がこちらを見ていた。
「…お、おはよう、ございます……」
蚊の鳴くような声で、返事をした。
彼は、肆亜の返事を聞くと、少し微笑んで、自分の席に戻っていった。
肆亜の胸は、まるでぽっかりと穴が空いたように、虚しくなった。
放っておいて欲しかったはずなのに、いざ放っておかれると、悲しくなる。
こんな矛盾した自分に、一番、嫌悪した。
どうして、こんなことになったのだろう?
一体、何をどうしたら、良かったのだろう?
そう自分に問いかけても、返ってくるのは、胸に空いた穴を通る虚しい風の音だけだった。