銀色の時間。

□期別
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朧の血は、確実に高杉の身体を蝕んでいた。
全てを受け入れた高杉は、自らの魂を糧に虚を止めることを選ぶ。
その想いは、虚と対峙した銀時を勝利へと導いた。
だが、人を越える力の代償はあまりにも大きく……。











辿り着いた遼が見たのは、銀時の背中と、その足もとに横たわる高杉の姿だった。
悲しむより、嘆くより先に体が動いて高杉の傍に膝をつく。

「遼」
「ありがとう、銀ちゃん。後は任せて。晋ちゃんをこのままにはしないから」

そう言って笑った遼に、銀時は「頼む」と二人に背を向けて走り出した。

「大丈夫だよ、私、力もちだから……ちゃんと、連れて行ってあげる」

横たわる高杉の髪を撫で、遼はほっとしている自分に気付いて苦笑する。
もう、高杉の為にやきもきしたり、無事を祈ったり、不安な朝を迎えなくて良いのだ。

「ねえ、晋ちゃん。あなたの望みは叶った?」

満足そうなその表情を見れば、答えなんて聞かなくともわかったが、どうしても伝えたい言葉があった。

「私は晋ちゃんに生きててほしかったよ……だって私はあなたを──愛しているから」

遼は高杉の体を抱き上げて、崩れ落ちるターミナルを後にした。
もうあまり、時間は残されていない。
けれど、高杉を一人残して行くことは出来なかった。
せめて、あの場所へ。
高杉晋助が、笑っていられる場所へ連れて行きたかった。
それが彼への弔いだと信じて。
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