復活する人。

□初雪(作成中)
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12月のとある休日。
日本列島を大寒波が襲い、北海道や東北は勿論、此処関東も一夜で銀世界になっていた。
「うわっ。寒いと思ったら雪降ってるよ!」
「初雪だな」
「ランボさんは雪だるま作るんだもんね!」
「元気だなぁ〜」
吐く息の白さに、思わず目を見張る。
「今日は一日こたつに入ってゆっくりするか」
「ツナはいつもゆっくりしてるじゃねぇか」
「う、うるさいなぁ」
「ツナはランボさんと一緒に雪だるま作るんだ〜」
「やだよ。この寒いのに何で外に出なきゃならないんだよ」
しがみ付いてくるランボを払い落として、ツナはいそいそとパジャマを脱いで厚手の服を着込む。
「雪だるま!」
「一人でやればいいだろ。オレは嫌なの」
「うう〜ぅっ…が・ま…うわぁぁんっ!」
「泣かしたな」
「泣いても駄目だからな。たまには本当に我慢してみろよ」
綱吉が呆れて溜息を吐くと、タイミング良く階下から奈々の呼び声が掛かった。
「ツッくーん、リボーンくーん、ランボくーん、おしるこ出来たからいらっしゃーい」
「はーい!ほら、行くぞ二人とも」
「おしるこ?」
「煮た小豆に砂糖を加えて餅を入れた日本(ジャッポーネ)のおやつだ」
首を傾げるランボに、リボーンが簡単に説明する。
「おやつ!計画変更でランボさんおやつ食べてくる!」
どたどたと階段を駆け降りる音の後、バタンと音がしてランボの泣き声が聞こえて来た。
「コケたな」
「も〜、慌てるからだって。仕方ないなぁ」
とんとんと軽快なリズムを立てて階段を降りると、玄関先で転げ回るランボがいた。
「泣くなよ。おしるこ食べるんだろ?」
綱吉は赤く腫れたランボの額を冷たい手で軽く触ると、しがみ付いて来たランボを引き擦って台所へ向かう。
「おはよ。ってか、朝からおしるこ?」
「いいじゃない。寒いんだから」
「オレっちのおしるこまだぁ」
早々と席についたランボが、フォークを鳴らして催促する。
「ちょっと待ってね。はい、ランボちゃん」
「わーい、おしるこー」
「ママン、オレは一緒にエスプレッソを頼むぞ」
「はいはい。ツナは自分でよそって食べてね」
「はーい」
綱吉は気の抜けた返事をして、焼けた餅を入れた椀に汁を注ぐ。
居候が増えてからこちら、綱吉はかなり生活力が上がった。大抵の事は自分でするようになったし、なんだかんだでちみたんの面倒も見ている。
「汚いなぁ、こぼさず食べろよ」
「ガハハハ、これがオレっち流の食べ方だもんね」
「食い意地だけは一人前なんだから…」
がしがしと些か乱暴にタオルでランボの口元を拭いてやり、ふきんでさっと机を拭く。
「何か所帯じみて来たなぁ、俺」
時々忘れてしまいそうになるけれど、リボーンを始め綱吉の周りに集まってくる大半の者がマフィア関係だ。それなのに、妙に馴染んでいる。
「なんだか全部、夢みたいだ」
「夢じゃねぇぞ。お前はいずれボンゴレの十代目だ」
「いや、そっちの夢じゃ…ってゆーか、絶対ならないから!」
慌ててそう切り返すが、自分の中で何となく変化している思いに綱吉自身も気付いている。
(前ほど、嫌じゃない)
当たり前に武器をふりかざすのは嫌だけど、仲間と…リボーン風に言うならファミリーと一緒にいるのは楽しくて、心地良い。
(特に、獄寺君や山本といる時間は幸せなんだよなぁ)
以前の自分なら知ることのなかった感情が、ゆっくりと育まれている。
「ご馳走様」
手を合わせ、食べ終わった食器を湯を張った洗い桶につける。
リボーンの為のコーヒーを用意しながら、奈々が綱吉に問い掛けた。
「ツナは今日どうするの?」
「んー、家にいるよ」



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