銀色の人。

□【真選組の仕事】
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局長 近藤勲  有給休暇
副長 土方十四郎 休暇
一番隊隊長 沖田総悟 サボりの為行方不明


壁に掛けられた出勤表を見ながら、遼は思わず一人ごちる。

「いや、トップ3が同時に不在はマズイでしょ……」





【真撰組の仕事】




先日漸く隊士として正式入隊した遼は、屯所近くに部屋を借りて通勤するようになった。
遼としては、屯所内での生活に不満は無かったのだが、女性の為の設備が少ないことや、松平の勧めもあり、入隊と同じくして転居した。
渋々の事だったが、朝からバズーカの音が聞こえなかったりと、割と快適に過ごせている。
ただ、屯所内で生活していない分、近藤達の勤務状況等は把握しにくくなった為、出勤表を見るのが日課になった。

「何かまた、面倒ごとに巻き込まれてるんだろうなー」
「おはよう遼ちゃん」
「おはようございます山崎さん。今日は見廻りお世話になります」
「こちらこそ。いやー、君と一緒なんて、何だか得した気分だなー」

ニコニコと、嬉しそうな山崎に、遼も思わず微笑む。

「ところで山崎さん。局長達は今日はどちらへ?」
「え?あー……俺も詳しくは知らないんだけどね、局長がご執心のお妙さん絡みのトラブルらしくって」
「え?それで、お妙さんは大丈夫なんですか!?」
「局長達と、それによろず屋も絡んでるらしいから、大丈夫だと思うよ……………………………………たぶん」
「なんですか、その間」

3点リーダーをたっぷり使った山崎の反応に、さすがに遼も聞き返す。

「実は……斯く斯く云々で」
「柳生家に乗り込んでるって事ですか?」
「そうみたい。でも、それより大変なんだよ、これ見て!」

そう言って山崎は自分の携帯電話を遼に見せる。

「何ですかこれ?着飾った……ゴリラ??」
「局長のお見合い相手だよ」
「…………は?」
「松平のとっつぁんが、局長に持ってきて見合いしたんだけど、どうやら向こうは乗り気みたいでさ。纏まりそうなんだよねこの話」
「え?いやでもゴリラですよ。大きめの」

遠い目をした山崎に、遼は「流石にそれはないでしょう」と突っ込むが、山崎は「でも俺たち、権力には逆らえないから」と、肩を落とした。

「まあでも、いざとなったら皆で妨害でもすれば良いじゃないですか」
「遼ちゃんって、時々すごい大胆な発言するよね」
「まー、人生なるようにしかなりませんから」

あっけらかんと答えた遼に、山崎は「俺もそのくらいポジティブになれたらなー」と、羨ましがる。

「取り敢えず山崎さん。見廻りに出ましょう」

「早く早く」と急かされ、二人は慌ただしく屯所を出発した。
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