復活する人。

□初雪(作成中)
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「あら、獄寺君や山本君と遊ばないの?」
「この雪だよ?二人ともきっと…」
「十代目ーっ!」
「ツナーっ!」
「え…?」
響いた二つの声に、綱吉はこけつまろびつ玄関に向かう。
「よ、ツナ」
「おはよーございます、十代目」
「おはよ。って二人ともどうしたの?」
走って来たのだろう、二人とも軽く息が上がり、頬が上気している。
「雪だぜ、迎えに来たんだ」
「ご一緒に、雪見でもどうかと思いまして」
白い歯を見せて笑う山本と、はにかんだように笑う獄寺。
二人の笑顔に、何だか綱吉の方が照れ臭くなってしまう。
「あ、うん、有難う。準備するから、ちょっと上がって待ってて」
綱吉はそう言ってぱたぱたと洗面所に向かう。
「ん。おじゃましまーす」
「失礼します」
「あら、やっぱり来たのね。いらっしゃい、良かったら、おしるこどう?」
「「いただきます」」
奈々の誘いに二人の声が重なるのを背中で聞いて、綱吉はくすりと笑った。
嬉しくて、幸せで…声を上げて笑いたくなるのを堪えながら、湯が出るのも待てずに冷水で顔を洗う。
「ひぁっ、冷たっ」
慌ててタオルで顔を拭き、鏡をちらりと見上げる。
「ううっ、相変わらず髪がサイヤ人だ…」
癖だらけの髪に、見栄えのしない(と、自分では思っている)顔。特技もなければ趣味もない、平凡以下の自分。
「けど…」
言葉に出来ない思いが溢れて、綱吉は頭を振った。
がしがしと歯を磨き、タオルを洗濯機に放りこむ。急いで自室に戻ってコートとマフラーをつけた。
「手袋手袋っ、と…」
些か幼稚なデザインの、手相を見せるときにも着けていなければならない手袋をつける。
ボンゴレ十代目に近付く為の、武器。
「今は手袋の機能だけはたしてくれよ」
少しだけ泣きそうな顔で微笑んで、閉じた扉に背を向けた。
「お待たせっ」
「大丈夫っす。でも本当、十代目の母上は料理上手っすよね!」
「うふふ、お上手ね」
満更でもないのか、奈々が嬉しそうに笑う。
「出来合いのお餅焼いて、缶詰の小豆に砂糖入れて温めただけじゃないか」
「まぁ、言うようになったわね」
奈々はぺちっと綱吉の頭をはたく。
「ちぇっ、本当のことじゃないか」
唇を尖らせると、綱吉の姿は益々子供っぽくなる。もっとも、本人は自覚していないが。
「じゃあ、行ってくるから。行こう、二人とも」
「行ってらっしゃい」
「「「行ってきます」」」


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