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□何色秘密
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日も落ちて晩飯は何を食おうかと考えていたある日。いつものようにジリリ、と鳴り始めた電話の呼び出し音。


シャワーから上がったばかりの俺はボタボタと頭から落ちる滴を拭うようにタオルで乱雑に髪を拭っていた途中で。
周りを見てもバージルの姿はなく他に出る人もいないとわかると俺はタオルを片手で押さえ、空いた片手で電話を取った。


「───」


いつもの決まったセリフを吐こうと口を開いた瞬間、それを遮るように電話口の向こうから見知らぬ男の声が響く。



「パンツ何色?」



───……さて、どうしたものか。

受話器を首と肩の間に挟み両手でガシガシと頭を拭き続ける。


───……パンツって言われても…パンツなぁ、…パンツ…やっぱり若者らしく白と言うべきか?

いやいや、クールなイメージを保つために黒も捨てがたい。

まぁでもここは素直が売りの俺だし嘘をついたらだめだよな。



結果は出た、黙って待っていたらしい男に向かって俺は口を開く。



「履いてないけど」



瞬間電話口の向こうからブハッと何か吹き出るような音がしたと思ったらすぐ近くからガシャンッ!と何か壊れた音が響いた。



「……あれ?なんも聞こえねぇ」


音が途切れた受話器から視線を辿り電話機へ……と思ったらそこにあったのは粉々になった電話機の破片。でその上には固く握られた拳。


「……なにしてんの、バージル」


拳の主は双子の兄、バージル。
どうやらバージルが電話機を叩き潰したようで……使えない受話器をどうしてくれると示すようにぷらぷら揺らしていたら地を這うような低い声がゾワゾワと俺の神経を撫でて受話器を落としてしまった。


「貴様こそ何をしてる」



え、なんで怒ってんの?と漏れそうになった言葉を飲み込む。
バージルから発せられる威圧感がたまらなく怖過ぎてそんなん言えねぇ……!



「や、その……パンツ何色って聞かれたから…素直に答えてただけだけど…」


恐る恐ると今起きたことを説明するもののバージルの怖い威圧感は全く取れない…むしろ益々増してるような……なんて考えていたらガシッと腰からずり落ちかけたズボンを掴まれた。



「そんなものさっさと切れ、答えるな、パンツを履け!」


「イダダダ…っ!ちょ、ま、く、食い込むっ痛い痛い痛い!」



そのまま掴み上げられたズボン、バージルは離すことなく引っ張りズルズルと俺を引きずっていく。


そして俺の優雅な晩御飯タイムは悪戯電話とパンツについての説教タイムに潰されていった……。
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