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□最後の恋唄
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少しずつ離れていくこのキョリ。
それが近付く時はくるのだろうか?
−最後の恋唄−
立ち去る一護。
その背中がどんどん小さくなっていく。
俺はそれを見送る。
隣にいた松本も、それを止めることをせず見送っていた。
いや、正しくは見送ることしかできなかった。
「隊長…」
「…帰るぞ松本」
「…むり、しないでくださいね…」
何とか冷静を保ちたくて、でも保てなくて。
誰にもみられたくなくて、わざと松本に背を向ける。
しかし松本には全てお見通しのようで、最後に一言いってから横を通り抜ける。
その気遣いが逆に虚しさを覚えて、思わず彼女の背中と反対側に背を向け走り出した。
だが、そんなときでも過ぎるのは彼の事。
(黒崎…)
フられたら忘れる?
そう思っていた。
だが、それは逆に進んでしまった。
忘れられない。
忘れたくない。
そんな気持ちに押しつぶされそうだ。
「ちっ、くしょっ…」
再び頬に熱いものが伝った。
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