リレー小説
03/20(Thu) 20:19
リトマス紙
「ん?」
人の声が聞こえた気がした
儂の耳は飾りではないし、聴覚は鋭い方だから聞き間違いでは、ないだろう
「あっちか…」
意識せずとも先に足が動き、手が二本の柄を掴む
明確になる前の景色を見て、儂は眉間に皺を寄せた
「女の子…それと、AKUMA…」
今ここには一体だが、物音で集まるであろう距離に複数体潜んでいる
ま、関係ないか
「全て壊せば、問題はない
イノセンス発動」
ダイヤとオパールのチャームに柄を押しつけ、刀身を作り出す
倒れた女の子の前に立ち、打ち出された弾丸を弾いてからオパールの細刀のように細い刀身を確かめ、AKUMAを切り捨てた
「爆ぜろ、オパール」
鋭い電撃がAKUMAを貫き、壊す
しかしその際の轟音で他のAKUMAも集まってきた
「儂の刀の錆にしてくれようか」
オパールの刀身に雷を纏わせ、儂はAKUMAに切り掛かった
03/20(Thu) 20:33
月詠
不意に月詠の雰囲気が変わり、起き上がる。
そして瞼を開けると、瞳は深緑へと変わっていた。
「あー……他にもいたのか」
アルトの声が響き、ため息を吐き出した。
褐色の肌の少女がこちらに気付いて驚くのも気にせず、右手を構える。
「幻想(ミラージュ)」
それと同時に月詠の姿が変わる。
肘までの紫がかった黒い髪に深緑の瞳、白銀の薄くて細身の鎧を着た、身長170くらいの少年。
少年は自分の背後から襲ってきたAKUMAを振り向いて見た。
「軍神の槍」
少年の右手には、いつの間にか長槍が現れる。
それは全長は三メートルほどで、刃は一メートルほど。
刃は両刃の剣のようになっていて漆黒の模様がある。
少年は真紅の柄を掴んで、背後からのAKUMAを斬った。
03/20(Thu) 20:51
リトマス紙
「へぇ」
面白い、そう儂は確信する
迫りくるAKUMAを二本の細刀で斬り伏せながら起き上がった少女──いや、少年を見つめる
これはなんだろうか?
あれはなんだろうか?
この状況は、なんだろうか?
身体中の血が沸き上がる
飽くなき探求心が神経を逆撫でする
「いいねぇ…この感じ……AKUMAを狩る時と同じで、心地いいよ」
ダイヤの刀身で二体のAKUMAを凍らせつつ、オパールの刀身で電撃を放つ
体が軽い
今までの欠落していたものが満たされるようで……
「楽しいじゃないか」
ダイヤの刀身をルビーに素早く換え、辺りを焼き払う
完全燃焼しているような青白い炎がAKUMAを焼き、木にまで飛び火しそうなほど上に伸びた
「うん、面白そう」
前髪で遮られる目の前を見つめ、儂は少年を眺めた
本当に、面白そうだ…
03/20(Thu) 20:59
月詠
感じる視線を無視しながら少年はAKUMAを破壊していく。
斬る、突く。
槍と剣、両方の特徴を持った長槍は淡々とAKUMAを破壊する。
ふと炎に気付いて舌打ちする。
「森が焼けたらどうするんだか…」
まぁ、別にいいが。
少年は小さく呟き、槍を構える。
AKUMAに囲まれた瞬間。
「軍神の舞」
舞のように回ると同時に鎌鼬が発生し、囲んでいたAKUMAを全て破壊した。
03/20(Thu) 21:43
リトマス紙
「やっぱり、面白い」
にやにやとした笑みが治まらない
燃やすべき対象を失った炎は音もなく燃え広がる
それすらどうでもよくなった儂は刀身をチャームに戻して、柄を太股に戻した
「あ、でも燃え尽きたら困るか」
そうだ
下手に燃えたらここだけミステリーサークルの出来上がりだ
それだけは避けなければ
一本だけ柄を抜き取り、青い宝石のチャームに押し当てた
引き抜くと刀のように長い刀身が現われ、透明で青い輝きを放つ
「沈め、サファイア」
刀身から水が溢れだし、振るうと飛散して炎を鎮火させた
炎があった場所は焦げておらず、青々とした草木が風に揺れた
黒い儂の眼帯に一枚の葉が落ちてきて、思わず笑う
そして、听う
「ふふふ、あははははっ君、面白いね
とっても不思議で愉快だ
儂の好奇心と探求心が刺激されるよ
くくくっ」
笑いが止まらない
愉快で痛快で不思議で不可解だね
面白い
本当に面白いよ
来てよかったなぁ
「この世界」
☆の付いている部分は必須項目です。