リレー小説
03/20(Thu) 23:13
リトマス紙
「迷いの森、って呼ばれてるみたいだよぉ?
なんでも神隠しがあるとかないとか
帰って来れないって噂もある
AKUMA沢山いるし」
刀身を出していない柄の後ろについている紅色の飾り布を掴んでくるくる回す
端っこに着けられた小さな銀の十字架が揺れ、中心に埋め込まれた赤い石が光を反射した
「神隠しなんて…神に効かないっての」
小さく呟いて少女は目の前に現われたAKUMAを素早く抜き出したルビーの刀身で焼き払う
そして再びエメラルドの刀身に換え、静電気を流し、行き先を確認する
「出口まで案内はするけど、儂はイノセンス君の主人、月詠ちゃんには会えないよ
いきなり知らない人が目の前にいるのもどうだろうし、やる事あるからさ」
ね?と笑いかけて、少女は歩きだす
そして、森を抜けた時には、少女は姿形もなかった
まるで幻覚であったかのように、消え去っていた
03/21(Fri) 08:34
月詠
「分かった」
頷きながら少年は少女に言う。
森を抜けていなくなった少女へ向けて、小さく呟く。
「……ありがとう」
そしてその姿のままで歩き始める。
月詠に戻った時にあまり違和感を感じられないように、街へと。
「幻想(ミラージュ)」
少年の服装が変わる。
白銀の鎧ではなく、旅人のような服装に。
03/21(Fri) 09:06
リトマス紙
消えた少女は、再び森の中にいた
二本の柄を握り、周りを巡る気配に意識を向ける
「出会ったのがLEVEL1だけでよかった
街に出られる前に、少しでも片しとかなきゃ」
1…2…3…4…と聞こえる音だけで数を数えていく
全て数え終えようとした頃合いに、一斉に弾が飛んできた
「LEVEL1が十体にLEVEL2が六体
まぁ、良い方か」
ひょいひょいと弾を避け、チャームに柄を押し当てる
十字架に嵌め込まれた赤い石が輝き、刀身を作り出す
「オパールとロイヤルブルームーンで、瞬殺だね
爆ぜろ、オパール
打ち消せ、ロイヤルブルームーン」
七色に輝くオパールの刄と青白く輝くロイヤルブルームーンの刄が暗い森の中で翻った
03/21(Fri) 09:19
月詠
「意外と近かったな」
街に着いた少年は呟く。
それと同時に頭の中で声が響いた。
《ん……》
「起きたのか?」
《えっと……え!?》
混乱してるらしき月詠の声が響く。
仕方ないからか少年は記憶の共有を開始し、小さな声で説明もする。
「俺はお前のイノセンスで寄生型だ。
お前が発動したからこうやって動いている。
記憶にいる女はお前を助けてくれた」
《ウチ、月詠って名乗ればいいのかー。
お姉さんには次に会えたらお礼を言わないと、だね》
「そうなるな」
そして少年は路地裏に入る。
「イノセンスの発動を止めるから、入れ替わる。安心しろ、発動しなくても俺は干渉出来る」
《分かった。あ、名前つけていい?》
「……ああ」
そのまま少年は少し待つ。
どうやら月詠は考えているようだ。
《テュール……うん、テュールだ》
「テュール…」
北欧神話に出てくる神の名前。
その名前をもらった少年は驚きの表情を浮かべ、すぐに入れ替わる。
少年がいた場所には月詠。
「テュール?」
《……何だ》
「代わりに戦ってくれて、ありがとう」
03/21(Fri) 10:19
リトマス紙
「ふぁ」
頭上の太陽を見上げ、少女は思わず欠伸を洩らす
黒いコートの裾や袖が僅かに焼け焦げ、見える素足に幾つかの火傷があった
しかしそんな事はどうでもいいのか森から抜け出した少女は街に入る
「どっか暗い場所ないかなぁ
教団のエクソシストに見つかったら厄介だし、体痛いし、ロイヤルブルームーンの反動強過ぎ
あれで第一解放とかww上に行きたくなくなるわ」
裂傷、火傷、打撲傷、右足首骨折
これほどの傷を全身に負いながら少女は全く気にした様子もなく歩く
流石に黒ずくめだと目立つのか相当人の目を集めた
「見られるの、嫌いだなぁ」
そう呟いてコートのフードを被る
目元まで隠して、人が多い通りを抜け、人が少ない細道の影に座り込んだ
「満身創痍かなぁ…やっぱ反動キツいのは…使うもんじゃないや…」
ぽつりと呟いて、瞼を閉じる
「あ、そういえば、月詠ちゃんとイノセンス君は…どうしたのかな…
ちゃんと街に…つけたかな…」
微かに呟き、少女は眠りに就いた
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