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□生き恋焦がれる
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辛い辛い、
そんな顔をあんな女に見せないでよ。
嫉妬心で狂ってしまう。
「名無しさんどうかしたの?」
兵助に声を掛けられ、俯いていた顔を上げる。
彼の後ろで笑見下すあの女。
怖い、怖いよっ!
「兵助!」
目に体中の水分を集めた、
のどが張り付いて声が掠れる。
精一杯伸ばした手を君は握ってくれた。
あぁ、幸せ。
ただそれだけで幸せ。
「名無しさん?どうしたの?」
「兵助どこにも行かないで?あの女のところに行かないで?」
我慢していた言葉が溢れ出した。
「・・・あの女?」
そう、兵助には見えていない女。
彼に恋焦がれている私の生霊。
いつの間にか彼女は私ではなくなっていた。
1人の女として彼女は兵助を好きになっていた。
「名無しさん、大丈夫だから。名無しさんこそ離れないでね?その男の所へ行かないでね?」
ゾクリと背中から視線を感じた。
生き恋焦がれる
重い思いに恋呪い