★そのた

□そうして私は消えていった
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アナタにはもう私は要らないわ。だからもうさようなら。

頭の中で話す君。なんでそんな悲しいことを言うの?
いつも私と貴女は一緒だったじゃない。
嫌だ嫌だと駄々をこねる私に、貴女はそっと頭を撫でる。

アナタはもう一人じゃないから、アナタと一緒にいてくれる人がいるから、
もう大丈夫私は必要ないの。

嘘。そんなことはない、いつまでも一緒にいてくれなきゃ、私は・・・私は!!

目を覚ませばアナタは私のことを忘れるわ。
その寂しさだって忘れてしまう。
大丈夫、だから安心して目を覚まして、そして生きて。

忘れる?貴女の事を?こんなに一緒にいたのに?
私は忘れてしまうの?それなら起きたくない!起きたくないわ!!

頬に流れる一筋の涙。

「ギャリー!ギャリー!」

これは・・・イヴ?イヴが私を呼んでいる。

ほら、起きて小さなお姫様を守ってあげて。
女の子を泣かせちゃいけないのよ?

けど、起きたら貴女は・・・。

大丈夫よ、アナタが忘れたとしても心が覚えてるわ。
ありがとう、さようなら、愛してる。

その言葉と共に私の意識を取り戻した。

「!!ギャリー!大丈夫?」

瞳に沢山の涙を溜めたお姫様にチクリと胸が痛む。

あれ?なんで私今まで気を失ってたのかしら?
それより、私こんな言葉遣いしてたかしら?

「イヴ、大丈夫よ。それより、私の喋り方変じゃない?」

「・・・?いつも通り変だよ?」

「それどういう意味よ。」

そして、二人で笑った。

「さぁ、早くこの世界から抜け出しちゃいましょ!」

「うん!」

そうして、二人で歩き出す。
少しの物足りなさがあるが、きっとそれは気のせい。



そうして私は消えていった。
もう一人じゃないから、偽者はさようなら。
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