★aoex-s
□右手が宙ぶらりん
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燐が覚醒した夜、獅郎さんが死んだ。
私もエクソシストの端くれ、常に死とは隣りあわせだ。
お互いに覚悟はしていた。
分かってる、分かってるんだ。
「獅郎さぁん、」
雨の中、私は彼のお墓の前で泣き続けた。
フェレス卿が、心配して傘を差してくれた。
知らない間に雨は止んでいた。
どうして?どうして、悪魔は見えるのに、彼の魂は見れないの?
どうして?貴方に会いたいだけなのに、会えないの?
分かってる。分かってるけど、理解したくないよ。
『どうした名無しさん?はぁ?仕事ミスした?それぐらいで泣くな。誰も死んじゃーいねーんだろ?なら大丈夫だ!お前は笑ってろ。』
『寂しいから手繋いでください?こんなじじぃと手繋いで何が楽しいんだ?』
『年寄りをからかうなよ・・・好きだよ名無しさん。あぁーコレでいいか?恥ずかしいんだよ。』
「獅郎さん、」
無意識に右手が貴方を探してしまいます。
「手、握ってよぉ。」
右手が宙ぶらりん
ほんのり貴方の温もりを感じた気がした。