★aoex-s

□その手を私に・・・
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※「右手が宙ぶらりん」のメフィスト視線です。



私の親友が死んだ。
人間の命は実に短い。
この物質界にいる何百年と人間の生死を限りなく見てきた。
私に恋する人間も中にはいたが、どうせ彼らが先に死ぬだけ。
何の魅力も無い、一時の遊びの様なものだった。

「獅郎さん、」

なのに何故人間はその短い命の間に恋を幾度と繰り返すのだろう。
時に傷つき裏切られ、それでも人を愛そうとする。
悪魔の私には理解が出来なかった。
しかし、雨の中亡き友人に涙を流す彼女が美しいと感じた。

「名無しさん、風邪を引いてしまいますよ。」

そっと、傘を彼女に差す。
しかし、彼女は彼の墓の前から動こうとせず、愛していた彼のに思いを馳せている。
なぜでしょう?
私の胸がズキリと痛みました。

そして、君の右手が何かを探しているように見えたんです。









その手を私に・・・。
私なら貴女に悲しい思いはさせないのに。
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