★aoex-s

□哀情
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降る雨にブルリと鳥肌が立つ。
ノイズが木霊する、グワングワンと耳鳴りが私を苦しめた。

雨で体がドンドン重くなる。
分厚い雲が目の前に広がる。
彼が来るまでと、そっと目を閉じた。






「名無しさん…」
雨音に消えるほどの小さな声。


愛する彼の声が聞こえた。


目を開けると私の隣に彼がいた。
右手を動かそうとしても、それは私には叶わなかった。
悲しい顔の彼は私に優しいキスをした。

なんだか、ホワホワする。
とても体が楽で、ほら!!右腕だって貴方の顔まで上がるわ。


ね、お願いだから泣かないで?




あぁ、そうか私…死んだんだ。


「人は儚く美しい。私は人が羨ましい。」


愛する彼の口癖。
人と悪魔、結ばれそうで結ばれない。
ドレッシングの様に混ぜても混ぜわせてないと離れてしまう。


ねぇ、メフィスト?
私今幸せよ?
貴方は人を、そして私を愛してくれた。

そして今、私は悪魔になることができる。
貴方の傍に寄り添える。
こんな私を貴方バカと小突くでしょうね。


堕ちてしまったの、貴方の愛に…














哀情
哀しくも綺麗な愛の形を
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