企画モノ
□お願いだから
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織姫はずっと兄上の物でした。
とても綺麗で儚くて、ちょっとしたことで簡単に壊れてしまう。
壊れてしまった織姫の事を兄上は更に愛でていました。
僕はいつも織姫の事を見ることしか出来ませんでした。
そんな織姫にも命の終わりの時がやってきました。
最後に一時だけ僕は織姫と初めて2人っきりになりました。
やせ細ってしまい、今にも消え入りそうな命の火。
壊れた時から彼女の目からは光が消えていました。
「織姫・・・。」
「アマイモン、今までありがとう。」
「もっと頑張って生きてください。」
僕のために・・・。
思わず言いたくなってしまった言葉。
「うふふ、けど、私もうダメみたい。アマイモンありがとう、大好きだよ。」
柔らかく笑う織姫を見て、涙が一筋流れた。
「僕も、僕も織姫ことが大好きです。」
初めて言えた。貴方にずっと伝えたかった気持ち。
「ありがとう。」
それが彼女と交わした最後と言葉。
僕の好きと織姫の好きは違う感情。
そんなことは分かっていました。
だけど、どうしても伝えたかったんです。
言いたかったんです。
お願いだから好きだと言わせて。