企画モノ

□愛しく呼ぶ名前
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「メフィのわからずやー!!!」

バンっと大きな音を立ててドアを閉めてった私の恋人。
喧嘩の内容は本当に些細なこと。
女子の制服のリボンと、ネクタイどっちが可愛いかだ。
リボンのほうが可愛いと力説する織姫に、ネクタイの魅力を語る私・・・。
正直どちらでもいい気もするが。
たったそれだけで彼女はこの部屋を出て行った。
もしかすると、今回の事だけじゃなく、以前から少しずつ私に対する嫌悪がたまっていたのだろう。
それが偶々今日爆発したのだ。

「少し、意地悪でしたかね?」

彼女が出て行った扉に向かって呟いた。




「メフィのバカバカ!!」

別にリボンとかネクタイとかどうでもいい。
特にコレと理由はないが、私の中のイライラが爆発してしまった。

「贅沢なわがままだ・・・。」

いつも私に愛を囁いてくれるメフィスト。
なのに、もっと愛されたくて・・・。

「貪欲・・・。」

自傷気味に笑う。
辺りを見ると大分暗くなってきた。
そろそろ謝りに帰らなきゃ。

彼の家の方向に歩き出す。
闇からザワザワとなにか不気味な気配がする。
今日は聖水もなにも持っていない。




「少し帰りが遅いですね。」

窓の外には闇が広がっている。
いつもならもっと早く帰ってくるのに。
ソファーを見ると織姫の持ち物が全て置いてあった。
そして、騒がしい外の気配。

「織姫!!」




失敗した。
どうしてカバン持ってこなかったんだろう。
目の前には数十匹のグール。
詠唱で大分数は減っているが、詠唱中に数箇所攻撃を受けてしまった。

「しまっ、」

後ろからの攻撃、油断していた。
モロ当たりした攻撃で意識が遠のく・・・。

「織姫!!」

「メフィスト・・・?」

意識が遠のく前に愛しい人の声が聞こえた。





「・・・ん?」

気付くとふかふかのベッドに私はいた。

「織姫、大丈夫ですか?」

「メフィ・・・。」

心配そうに私の頬を撫でるメフィスト。

「すいません、もう少し早く気付いていれば・・・。」

「ち、違うの!私が「私のせいです!!」メフィ。」

「もっと、貴女の事を思っていれば・・・。」

違う、違うよ。
私は貴方に沢山思われてる。
貪欲に愛を欲しがっていたのは私。

「メフィ、大好き。愛してる。」

滅多にしない私からのキス。

「織姫、愛しています。」





愛しく呼ぶ名前
それは貴方(貴女)の名前
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