企画モノ

□今日のお弁当
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今日も、退屈な授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る。
号令の後、私はすぐさま最愛のお弁当のもとへ向かう。

「りーん!!今日のお弁当は??」

クラスメイトは今日もかと、若干飽きれ気味にその声に笑顔を向ける。

「織姫!今日も美味しいのが出来てるぜ!雪男にお弁当届けに行くんだけど一緒に行くか?」

「うん!お弁当に着いてく!!」

「・・・なんか俺悲しくなるんだけど・・・。」

「うーそ、燐早く行こ!!」

不貞腐れる燐の手を引っ張り走り出した。

「ゆーきーおーべーんーとーだーよー!!」

バンっと教室の扉を開け、雪男を呼び出す。

「・・・織姫、もっと静かにね?」

雪男の冷ややかな目と共に、クラスの女子からは嫉妬の眼差しを受ける。
それにあえて気づかない振りをする織姫。

「今日のお弁当はなにかな〜?」

木陰で一緒に食べよ?っと、奥村ツインズに提案する。

「そうだな、んじゃ俺飲み物買ってくるよ。」

「私、レモンティーね!」

「はいはい、雪男は?」

「僕はミネラルウォーターで、忘れないでね?」

「わ、忘れねーよ!じゃ、先行っててな!」

そう言って、燐は売店に私と雪男は中庭に向かった。
暑い日差しの中、空いている木陰を探す。

「ここは?」

雪男が隅の木を指差した。
先約もいなそうだし、何より静かそうだったので場所を決めた。
遠巻きに女の子がコチラを睨んでいる。

「なに?雪男くんとイチャイチャしちゃって。」

「お弁当も雪男くんが作ってるんでしょ?あの女と兄なんのつもりなの?」

聞こえてくる嫌味。

「雪男モテルネ〜。」

「織姫まで、やめてよ。」

あくまで聞こえない振りをする私たち。

「それにしても、お弁当燐が持ってきてるのに、なんで雪男が作ってる設定になってるのかな?」

私は何を言われても良いが、それだけは気に入らない。

「おー、探した探した。随分端っこに居たな。」

飲み物を抱えて走ってくる燐。

「誰も居ないほうが、燐の美味しいお弁当独り占めできるでしょ?」

ポカーンっと口を空ける燐に、笑い出す雪男。
なにしてるんだか?っと、疑問に思いながら燐からレモンティーを奪い取る。

「人を見かけで判断してるやつなんて大嫌いだもん。」

少し声を張り、チラリと嫉妬の集団を見る。
バツが悪そうに彼女らは去っていった。

「燐!今日のお弁当は!?」

「今日は、織姫の好きなアスパラベーコン!」

「やったー!燐だーいすき!」

えへへ〜っと笑う。
すると、トマトみたいに赤くなる燐。
隣にはお腹を抱えて笑う雪男。
ちょっと!雪男笑いすぎだから!!

「兄さんも織姫の事好きだもんね。」

笑いすぎて出た涙を拭いながら言う雪男。

「おまっ!!」

更に真っ赤になる燐に、チューっとレモンティーを飲む私。

「?雪男も燐も好きだよ?あと、クロも!!」

「「・・・」」

いきなり黙るツインズ。

「兄さんドンマイ。」

「おう・・・。」

「ん?あ、具沢山の玉子焼き美味しい!!」




今日のお弁当
大好きな君に愛を注ぐ!!
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