企画モノ
□有り余る甘さ
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「メフィスト様…」
真っ暗な世界にポツリと呟かれる言葉。
声の主は鎖に繋がれたそれは可憐な…
「もぉー!我慢の限界ですわ!!」
ガチャン!
「1、2、3♪」
ポンッ!!
…可憐で活発な少女でした。
活発な少女は瞬く間に鎖をひきちぎり、掛け声と共に消えてしまいました。
「ゲームも飽きましたね。」
ポイっとピンク色に塗装のされたコントローラーが投げられた。
「こう、なに…か…何やら寒気が…。」
何か楽しい事が起きないかと思った矢先の寒気。
そう言えば今日は七夕と言うヤツだ。
離れ離れになった恋人達が会える日。
「織姫にも暫く逢っていませんね…。」
それは、無虚界に置いてきた彼女の名前。
あの時はまだ彼女の力が弱くコチラに連れて来ることが難しかった。
しかし、あれから何百年と時が過ぎた。
迎えに行くと言った気もするが、最早時効だろう。
彼女にはきっと違う彼氏が出来たに違いない。
哀愁に浸るメフィストの自室に爆音が起きる。
ドーンっっ!!
「なっ、何事ですか!?」
「メフィスト様!やっと逢えましたわ!!」
「はっ!?織姫??」
爆音の真ん中に居たのは無虚界に置いてきた彼女、織姫だった。
ムギューっとメフィストに抱き着く織姫。
「結界を破るのに骨が折れましたわ!」
もぉーっと、頬を膨らます織姫。
可愛いなっと思いながらも中々今の現状に整理がつかないメフィスト。
「織姫、どうして?」
「メフィスト様が出て行かれてから私大変でしたのよ?魔神様に疑われて今までずっと鎖に繋がれて放置されて、他の悪魔とかもう!私を襲い放題!まぁー、1回も負けませんでしたけど。愛の力ですわ。そしていつの間にか魔神様にも忘れ去られてしまいますし、我慢の限界で逃げ出してきましたわ!」
「…随分たくましくなりましたね。」
キョトンとするメフィスト。
「今まで逢えなかった分、沢山愛し合いましょう!私、コチラのBLと言うものを勉強して参りました!さぁ、メフィスト様いざ!寝室へ!」
「えっ!ちょっと織姫?」
「私はアマメフィ派です!」
愛しの彼女との再開めつかの間…。
彼の寝室からは断末魔が聞こえたとか聞こえなかったとか…。
有り余る甘さ
照れ隠しも程々に