企画モノ

□初恋
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「織姫、起きてください。もう、おやつの時間ですよ?」

いつもより冷たい体温の彼女を、ゆさゆさと揺さぶり起こそうとする。
そう言えば最近冷え性だって言ってましたね。
おやつを食べたら鬼ごっこをして遊びましょう。
そうすれば、温かくなります。
それにしても織姫起きてくれません…。

「…アマイモン。」

いつの間にか後ろに立っていた兄上。
なんでそんなに悲しそうな顔をしているんですか?

「兄上、織姫が目を開けてくれません。どうすれば起きてくれますか?」

兄上は僕の知らないことは何でも知っている。
寝坊助な織姫のお越し方だって、冷え性の治し方だって知っているはずです。

「アマイモン、よく聞け…織姫はもう目を開けない。死んだんだ。」

ガシャン!!

メフィストの横をガラス性の置物が掠め後ろの壁に当たり砕け散った。

「兄上、僕そんな冗談は聞きたくありません。」

「アマイモン、冗談ではないのだ!冗談では・・・。」

「兄上・・・。」

兄上の辛そうな顔。
知ってます。コレは、泣きたいけど泣けない時の兄上の顔です。

「織姫?本当にもう起きないんですか?一緒に、お花畑に行こうって言ってたじゃないですか。」

ポロポロと僕の目から涙が落ちていく。
止まれ、止まれ!
織姫の顔が見えません。
それに、僕はまだ織姫に言ってません!

「好きです。」

「ありがとう、愛してた。」

織姫の声が聞こえた気がした。
けど、なんで過去形なんですか?
これからも、僕の事好きでいてくださいよ!
沢山色んなところに行きましょう?
織姫が好きだって言っていたコスモスもまだ本物を見たことがありません。
一緒に見に行こうって約束したじゃないですか!!

織姫、織姫!!

初恋が終わる時
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