企画モノ

□初恋よさようなら
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小さい頃からずっと一緒、所詮幼馴染。

「兵助、ごはん行こー。」

「織姫!ちょっと待って、今行く!」

くのたまの私が忍たまの教室にいるのは普通は不自然だが、
学年があがるごとにくのたまの数は激減。
実技は忍たまとやることが多かった。

家が隣同士、親も仲良しな環境で育った私達。
周りから見れば、仲の良い兄弟。
最早、家族の一員みたいなものだった。

ただ、いつからだろう。
いや最初からだ。
私は兵助にずっと恋をしていた。
正直、彼が居なければ死んでしまうくらい依存もしていた。

学園の入学式で泣き叫んだのは今となれば笑い話だが、あの時の私は本気だったのだ。



ただ、この恋も今日で終わりを告げる。


「今夜は色の最終試験か・・・。」

そう、避けては通れない色の最終試験。
手っ取り早く言うと、一発ヤって来いみたいな授業だ。

「出来れば兵助にあげたかったな。」

彼を待つ廊下でポツリと呟いた。

「ん?何かくれるのか?」

支度を終えた兵助が私の隣にやってきた。

「ん〜、あげたかったけど、あげれそうに無いから秘密ー!」

へラっと笑って私を演じた。
少し眉間に皺を寄せた兵助だったが、特にその話に突っ込む訳でもなく、今日のランチはんだろな〜?っと歩き始めた。



今夜は月明かりがやけに眩しい。

「あんまり顔を見られたくないな、」

ほんのり化粧と、甘い香りを身に纏い歩き出す。
最終試験の相手は誰だかわからない。
時間と場所を指定されているだけだ。
その相手からとびっきりの秘密を聞くことがこの試験の合格点になるのだ。

「・・・織姫?」

「!?へ、いすけ?」

指定された場所で月を眺めていると兵助が現れた。
なんで?どうして?


見られたくなかった。


頭が混乱するが、どこか冷静に彼が私の試験相手なのかと認識していた。

そっと、彼に近づく。
「兵助・・・。」

胸に体を預け、上目遣いで彼を見上げる。

「織姫、」

片腕でギュッと体を抱きしめ、
もう片方の手で私の前髪を上げておでこに唇をおし

ゴツンっ!!!

「!?!?!?!?!」

柔らかな感触を待っていたら、声にもならない衝撃が頭を襲った。
涙がありえないくらい溢れてくる。

「っ!痛い!」

「俺だって痛い!」

「それは、兵助が頭突きしたからでしょ!」

ムードがぶち壊しだ。
あぁー、これで追試決定だよ。
・・・追試で済めばいいな・・・。
留年とか洒落にならない。

「それより、兵助はなんでここにいるのよ?」

「はぁ?織姫の色の相手に来たんだけど?」

「だったら、さっきのムードに合わせてよ!」

「嫌だ、あんなの織姫じゃない。」

「忍務だもの、しょうがないじゃない!!」

私だって、気持ち悪いと思ってるわよ!
もー!!なんなのよ?
わかった!!実はお前鉢屋だな?
軽く彼の顔を引っ張るが引っ張られるのはやはり人の皮で…

「…三郎じゃないから。」

ありゃ?思ったことバレてる。

「織姫の考えてる事なんて何でもわかるっつーの!!何年一緒にいると思ってんだ?それにお前の相手役、俺がお願いしたんだ。感謝しろ。」

「…豆腐でいいの?」

「3食分で…じゃなくて!!」

おー、ノリツッコミ!!

「織姫、好き。ずっと好きだった。」

真っ直ぐな瞳に見つめられ、一瞬息をするのを忘れてしまった。

兵助が、私の事を…

「好き?」

「うん、豆腐よりも好き。」

…豆腐と比べられるのか…

ふわりと甘い匂いがする。
あ、南蛮のお菓子、チョコレートの匂いだ。

告げなきゃ、私も好きだと。

「兵助、私も…」










初恋よさようなら
愛情よこんにちは
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