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□皮肉なものね
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愛だの運命だの胡散臭い。
だが、私には前世の記憶があり前世結ばれるはずだった彼にこうして出会ってしまった。
これが運命と言わずになんと言おう。
また、その彼というのが美人で秀才の久々知兵助で彼もまた前世の記憶を持っている。
顔も昔のまんまで、豆腐好きもそのままだった。
それはまた、私も同じことで昔のままの顔だった。
会った瞬間に私も彼もお互いの存在を確認した。
嬉しそうにする彼に戸惑う私。
だって、私はそのとき今の彼を知らない。
前世と一緒だと言っても今の彼とは別人でしょ?
なのになんで貴方はそんなに私のことを思ってくれるの?
正直・・・
「私貴方のことが嫌い。」
「え?」
きょとんとする久々知君。
「ら、来世は幸せになろうって言ったじゃないか!」
「えぇ、けど私にとっての幸せは貴方と一緒にいることじゃないわ。だって、私貴方のこと嫌いだもの。」
前世の記憶があるとしても、今の私は前世とは別人です。
「どうして貴方はそんなに前世にとらわれてるの可愛そうな人。」
泣き出しそうな瞳。
私の方が泣きそうだわ。
「お互いに幸せになりましょう?さようなら。」
そう言って私は彼の前から去っていった。
運命って皮肉なものね、
だって、命を運に任せるんでしょ?
私は堅実に生きたいものだわ。