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□その名は・・・
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竹谷の生まれ変わりの女の子
記憶はまったくないよ!

くく竹風味の夢


懐かしい学園の風景に、おばちゃんの食事の匂い。
大きな爆発の音が聞こえれば、また火薬が・・・っと少し嘆いた。

しかし、これは夢。

愛しい彼の膝の感触もすべて幻なのだ。

「八・・・。」

愛する彼の名前を呼ぶ。
ニコッと笑う君が愛おしい。

「兵助ー?」

疑問符で呼ばれる声で、現実へと浮上した。

「ん・・・?」

「もう、まだ寝ぼけてるの?」

「ん〜・・・もうちょっと。」

グリグリと頭を彼女へすりつける。
ニコッと笑い頭をそっと撫でてくれる彼女。

「ほら、三郎達の待ち合わせ遅れちゃうよ?」

「・・・今日だっけ?」

「今日だよー!ほらほら準備して出かけよ!」

チュっと上げたおでこにキスをされる。

「あぁ、八も準備しなよ。」

起き上がり、グーッと体を伸ばし準備を始めた。



時々見る夢は愛しい彼を膝枕する夢。
それは、今と同じ様な状況。
だけど、そのあとは人の叫び声、爆発音、血の匂い。
真っ暗な闇を私は走る。
そんな嬉しいけど怖い夢。

「八・・・。」

彼の口からこぼれた名前は私のものではない。

「あぁ、八も準備しなよ。」

それも私じゃない。
私の名前を呼んで?
ズキズキと痛む心と同時に温かな何かが流れる。
泣いているのは、私?それとも八?


流れていく涙をそのままにしていたら、兵助が驚いてやってきた。

「名無しさん!?どうしたんだ?!!」

あ、やっと私の名前を呼んでくれた。
呼んでくれたのに、心が悲しんでいるのはなぜ?

その名は・・・
「俺」であって「私」じゃない・・・

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