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□お菓子なんかより、
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「勘ちゃーん、お菓子ちょうだい?」

ポニーテールを揺らしながら走ってくる、くのたま5年生の名無しさん。
彼女とは、幼なじみと言うか腐れ縁というか、なんだかんだで俺の好きな相手。

「名無しさん、今日はお菓子を貰う日じゃないよ?ってか、それじゃいつもと同じじゃん。」

とりあえずいつも通りにお団子をあげる。

「一緒じゃないよ〜?お菓子くれなかったら、ちゃんとイタズラしたよ〜?」

チラチラと見せるラッピングされた袋・・・、くのたま特製毒入りのまんじゅうだろう・・・。
そう言えば、さっき三郎がカワヤへ走っていくのを見た気が。

「さっき、サブローがお菓子よこせって言ってきたから一つあげちゃったんだよね〜。」

「あ、やっぱり?」

どうやら間違いでは無かったようだ。

「ねーねー、名無しさん。」

「ん?なに、勘ちゃん?」

モグモグと団子を頬張る名無しさん。
口端についた粉を親指で擦り取る。

「俺、まだ名無しさんからお菓子貰ってないんだけど?イタズラしちゃうよ?」

顎にかけていた手をそのまま自分の方に持っていく。

チュッとリップ音がなる。

「うん、甘い。」

ふんわりと甘い味がする。

「・・・勘右衛門さん。」

「はい、なんでしょう?名無しさんさん。」

真顔で向き合う彼女。
ん〜・・・怒らせた?

「なんで、せ、せっ接吻??」

あ、顔真っ赤にしてる。
珍しい。

「俺はお菓子なんかより、名無しさんが食べたいんだよね。」

目を見開く彼女。
瞬きを忘れた瞳はうっすら涙模様。

「気づかなかった?俺ずっと名無しさんの事好きだったんだけど?」

勘ちゃんショックー、なんて笑って見せた。

「あ、私、私・・・!」

あわあわと困る名無しさんの手を引っ張り抱きしめる。

「俺にお菓子(名無しさん)をくれる?それともイタズラされたい?」

ニヤリとここ一番の笑顔で問いかければ、
どっちにしても一緒じゃん、と笑われた。


お菓子なんかより、
愛しい君を頂戴?
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