★rkrn

□喪失彼女
1ページ/6ページ

さようならと、感謝と涙と笑顔を残し天女様は天に帰られた。
これだけ学園をひっちゃかめっちゃかにしていって、時がきたからさようなら。
なんて虫のいい話だ。

私は天女が消えた空を睨みつけた。

それから数分後、名無しさんがいない事に気づく。
なぜか心臓がうるさい、どこだ?どこだ!!

「おい!誰か名無しさんを知らないか?」

「え?そう言えば朝から見てない・・・。」

同室の彼女が思いだしたかのように呟き、この不自然に気づかなかった自分に驚愕する。

ほかの、奴らに聞いても同じ答えしか返ってこなかった。
なんで誰も気づかなかったんだよ!!
それは他人を責める言葉であり、自分を責める言葉だった。

「名無しさん、名無しさん!」

森を走り抜けたどり着いたのは小さな神社。
そして、そこに倒れる探していた人。

「名無しさん!」

彼女を抱き起こし、息を確認する。
・・・大丈夫息してる。

息を一つ吐き安心するが、すぐさま不安が自分を満たしていく。

なんだ?彼女が見つかり、生きているのにこの不安は・・・一体?

「・・・ん?」

腕の中から声がする。

「名無しさん!大丈夫か?心配したんだぞ!!」

「え・・・貴方は誰ですか?」

あぁ、不安はこれだったのか。
天女は学園だけではなく私の愛する人まで壊していったようだ。
なぁ、もう一度落ちてこいよ天女様。
一生天なんかには戻してやらないがな。


そう言えば、彼女はどこへ行った?
それは私たちの小さな幸せを壊す言葉。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ