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□千年語り
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今日から、3週間ここから出てはいけないよ?」

「なん「いいね?」・・・はい。」

そう言って部屋の鍵を外から掛けられる。
窓のない部屋では、朝も夜もわからない。
1日にして・・・いや、1日も経たないうちに私の体内時計は狂いだした。
3週間分の食料はあるみたい。
きっちり3週間。
体内時計の狂った私には時間がわからない。
もしかすると3週間もしないうちに食べきってしまうかもしれない。
なので、私は極力食べないように、そして動かないように、過ごすことにした。

彼は本当にこの扉を開けてくれるのだろうか?
日々にらめっこするそれが憎たらしい。
あざ笑うように私を閉じこめる。

あぁ、最後に・・・最後なのかな?
無性に三郎に会いたい。
3週間で開かない事なんて知っていた。
私はこのまま人柱として埋められてしまうのも知っていた。
この建物はそのうち埋められてしまう。
もしかしたらすでに埋められているかも?
私は一人で最後を迎えるのだ。
誰に看取られることなく、この殺風景な場所で。

「三郎の話、最後まで聞きたかったな・・・。」

それは、忍者になる前の幼い頃の話。
楽しかったととても懐かしそうだった。
もう少し、もう少しで彼の素顔が見れそうだったのに。

「ばいばい、」

一言つぶやいた瞬間、私のいた空間は崩壊した。

「名無しさん!」

騒音の中私の名前を呼んでくれた気がした。
私の愛しい人が。










「・・・ん?」
窓からは朝日が射し込み、ケータイは陽気な曲で私の起床時間を告げる。
そして、目尻はほんのり濡れていた。
私泣いていたんだ。
息が出来なくなり、苦しいはずなのに。
彼女は・・・私はとても

「嬉しかったんだ。」

学校へ行くと、1つ上の意地悪な先輩にそう言った。
あぁ、懐かしいと思ってたのは魂が叫んでいたのか。

「・・・遅いんだよ。」

「ごめんなさい。待っててくれてありがとう。」

「名無しさん、前世とかそんなの関係なしに俺お前のこと好きだわ。」

「ん〜、私はまだわかりません。だって、今まで三郎先輩ずっと私に意地悪でぶっきぼうだったじゃないですか。」

「うっ・・・。」

「もう少しゆっくり過ごしてみましょ?あの頃とは違うんですから。」

彼の手を握り、へにゃりと笑う。

「ねぇ、あの頃話してた、話の続きを教えてください。ずっと、気になってたんですよ?」

少し涙目で三郎先輩は、嘘付け今日思い出したんだろ?って嬉しそうに笑い、抱きしめてくれた。


千年語り

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