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□竹谷の彼女の一生
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同じクラスの竹谷八左ヱ門には、幼馴染の許嫁がいるらしい。
五年間一緒に居たけどそんな話を聞いたのは初めてだった。
彼女作らないの?っと聞いても苦笑いをしていたのを思い出す。

あぁ、なんか盗られた気分。
盗られたって表現はなんだか違う気がするけど。
嫉妬がグルグルと僕を支配する。
きっと、それは僕だけじゃなくてみんな同じらしい。

嫉妬の原因の許嫁が今日学園にやってくるらしい。
八が僕達の事を紹介したいんだって。
なんだか、嬉しいような恥ずかしいような、苦しいような。

さっきからみんな黙って、ソワソワと緊張している。

縁側待つ僕らはボーっと空を眺める。
あぁ、太陽が眩しい。


「みんなー!待たせたな。」

元気な声で八がやってくる。
彼に引っ張られるようにやってきた小柄な女の子。
物静かそうな、かわいらしい女の子。
八に引っ張られて少し困ってるみたいだけど、
ニコっと優しく笑いかけてくれた。

なんだか・・・

「八には勿体無いな。」

三郎がポツリと呟く。
僕も兵助と勘ちゃんもそれにうなずく。

「おい、聞こえてるから。ったく・・・。」

満更でもなさそうに笑う八。
こんな顔を見るのは初めてだ。
それほど彼女の事が好きなんだ、
嫉妬、だけど・・・なぜか嬉しい。
彼女を見るまでグルグルと仲間を盗られた嫉妬が渦巻いていた僕が恥ずかしい。
彼女の名前は名無しさんと言うらしい。
細い綺麗な声だった。



咲く花の名前
それは太陽に恋をする
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