短編
□Late Letter―宛先不明な君へ― 【完】
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「お前のために応援に来た。お前が1位になるために」
やはりずれてる君だけど結果は惨敗ドベな私に、
喉を枯らして叫んだ君に「ありがとう」って言えなくて
「お前のことが好きなんだ」
って頭の後ろを掻く君に、どうしようもないこの私。
リンゴになってもじもじと、返事もせずにうつむいたまま「ありがとう」って言えなくて
「付き合ってくれ」
ってストレートな君と髪も気持ちもカールな私。
ようやくイエスと言えたけど、やっぱり弱虫意気地無し。
「ありがとう」って言えなくて
「明日大事な話がしたい」
雰囲気違う君の顔。
もしかしてって嫌な予感がするにはしたけど弱気な私。なにも言わずに明日を待つ。
「また明日」って言いながら
大事な話は知らぬまま、私は君との待ち合わせ。
待てども待てども来ない君。一体何があったのだろうか。心配するけど臆病娘
「また明日」って呟いた
君との時は凍りつき、私の心は檻の中
閉ざした気持ちのその訳は
“君が死んだ”
と校長挨拶。車に跳ねられ死んじゃった
「また明日」は来ないまま。
溜まりにたまった「ありがとう」
君に言いたいこの気持ち。
誰にも言えないこの気持ち。
この感情が消えぬうち
私の心を届けに逝こう
「ありがとう」って言うために
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