短編
□ひまわりは枯れた
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一度アイツとの出来事を思い出すと切りがないほどポンポン出てくる
例えばアイツとの出会いだ
早乙女学園の入学式でのパートナー決め…その適当なくじにより俺らはパートナーになった
名無しが曲を作り、俺がそれを歌う
初めはケンカが絶えなかった
俺も今より若く、やんちゃだったし…名無しも名無しで負けず嫌いだったからな
でも…俺らはその時すでに引かれあっていたんだ
だからプロになったあとも俺らはずっと付かず離れず一緒だった
……そう、一緒だったんだ
そんな風に考え事をしていたら……いつの間にか目的地に到着していたらしい
そこは早乙女学園でもなければ名無しの家でもない……
とある交差点
そこの隅にある信号機に俺は体を預けた
ゆっくりと瞳を閉ざして呼吸を整える
そして俺はさっきほどヒマワリの花を地面にそっと添えた…
「…ねぇねぇ知ってる?」
そこでふと若い女子の二人組の話が耳に入る
嫌でも聞こえてしまうくらいに近い距離
「知ってるって…何が?」
「数年前にこの交差点で起きた事故だよ」
「あぁ、聞いたことある…確か飲酒運転の車に引かれて1人女性が亡くなった……」
「そうそれ、実はさ…その死んじゃった女の人……」
「あの日向龍也の婚約者だったらしいよ」
ヒマワリは枯れた
(俺の側で咲き誇っていたお前は)(もうここにはいない)
end