ジェミニ§ストーム

□プロローグ
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ズキンッ ズキンッ
頭部がやけに痛んでいる


思わず顔をしかめるとスッ…とそこに触れたのは冷たい掌のようなもの

あ…なんか気持ちいいかも…
そう思いながら私はゆっくりと重い瞼を開けた


まず始めに映ったのは白い天井
考えなくても分かった、ここはきっと保健室だ

次に映ったのは…あのふわふわの髪と…う〜ん、ぼやけて見えない
目を擦ろうと反射的に腕を上げようとした瞬間


ガララッ…と扉の開く音と
ガタッ…!と勢いよくイスから立ち上がるような音がした




那「あっ、目が覚めたんですね!良かった〜!」

『…あ、えっ…?』




未だに頭が混乱している私
それを見かねたのかさっちゃんさんがぶっきらぼうにこう言い放った



砂「お前、俺と那月を避けきれなくてそのままぶっ倒れたんだよ…ったく、鈍い女だな」

那「さっちゃん、言い過ぎですよ!それに悪いのはぶつかった僕らです」



那月さんはそう言って「すみません」と謝罪の言葉をかけてくれた
優しい笑い方をする人だなぁ…

そこでさっちゃんさんがまたチッ…と小さく舌打ちをする


……と同時に
ガラッとまた保健室の扉が開いた


誰だろう?そう思い、体を起こすと最初に見えたのは帽子と金髪
しかしそれはすぐに那月さんの大きな背中に隠されて見えなくなった




那「わぁ〜!翔ちゃんと薫ちゃんだ〜、ぎゅー!!」

翔「な、那月!?お前なんでここに…うわぁあああッ!?」

薫「ちょっ、翔ちゃんに何して…むぎゅっ!」




那月さんに抱きつかれモゴモゴと力なく動く2つの人影

その1つが何とかその腕の中から逃げ出し、ふらふらとこちらへ歩いてきた



薫「ゴホッ、ゲホッ…」

『あ、あの…大丈夫ですか?』

薫「うん、でも翔ちゃんが…」

『翔、ちゃん?』



ふと那月さんの方を見るとその腕の中で未だ帽子の男の子がジタバタと暴れている

あれが翔ちゃん、か…




翔「那月、止めろって言ってんだろ!はーなーせーッ!!」

那「翔ちゃん可愛い〜」

翔「話を聞けぇえええッ!!」

薫「翔ちゃんを放せぇえッ!!」


『……………。』



こ、これは一体…
というかこの二人は?



砂「コイツらは那月の知り合いだ」

『わっ、さっちゃんさん!?』

砂「……さっちゃん?」



呼び名が気にくわなかったのはさっちゃんさんはギロリと私を睨みつける

だ、だって私貴方の名前知らないんですもんッ(泣)!!


そんな私にさっちゃんさんは呆れたのかハァ…とタメ息をつくとまた翔ちゃんさんたちについて説明してくれた
…あれ、もしかして意外に良い人?




砂「帽子のチビが来栖翔、その隣が双子の弟の来栖薫だ」

『双子…そういえば那月さんとさっちゃんさんも「次さっちゃんつったら殴んぞ」すみません』

砂「…あぁ、俺と那月も双子だ」

『通りでそっくりなわけか!』



ぽんっと手を叩きながら納得する
つまりここは双子ワールドだ!

そう思いながら那月さんたちの方を見るとようやく翔ちゃんさんが那月さんに解放されたところだった




翔「ゼェー、ゼェー…」

那「そういえば翔ちゃん、なんで保健室に?ハッ、まさか翔ちゃん…具合が悪くなったんじゃ!?」

翔「ちげーよ、バカ!薫が無理矢理ここに連れてきたんだよ」

薫「だって翔ちゃんが無理するから!」



きゃんきゃんと吠えるように言い合う3人はなんだか小動物と大型動物がじゃれあっているようで…見ていて微笑ましかった



その時


キーンコーン
 カーンコーン


とチャイムの音が鳴り響いた
と同時に冷や汗をかきながら思い出す


あれ、そういえば…
今…何時だったっけ…?
というか…始業式は…!?



『す、すいません…始業式って…』

翔「始業式?それなら今丁度終わったくらいじゃね?」



それを聞いた私の体からサァ…っと血の気が引いた
じゃあ、早く教室行かないといけないじゃん…!?


私はベッドの側にあった自分のバッグを取ってドアの前まで走る

ふとそこで彼らの存在を思いだし、軽く一礼してから保健室を去ったのだった…





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