短編

□腐った林檎の表面
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ずっとずっと貴方との幸せな日々が続けばいい…そう私は思っていた

そして彼も同じ考えだと信じてやまなかった








『ねぇ、レン』

「なんだい、名無し」


『…ずっと一緒にいてくれる?』


「あぁ、もちろんさ…愛してる」









貴方の甘い囁きが私の心臓を耳元から侵食して蝕んでいく

それがとてつもなく心地よくて、私はついついニヤニヤと笑ってしまう


しかしそんな私でさえ愛しいというように彼は私を強く抱き締めた…








私の彼の名は神宮寺レン
あの有名な神宮寺財閥の三男として生まれ育った、所謂セレブ

それに比べて私はごく普通の庶民
最初は私が勝手に彼に思いを寄せていただけだったのだが…なんと彼は私を愛し、告白までしてくれたのだ

あの時のことは忘れらない…





よく周りの人間はレンのことをタラシだとかナルシストとか言うけど本当のレンはそんなこと全然ない


だって彼は私のことを本当に好きでいてくれている

噂なんて所詮噂に過ぎない















そこで突然、テレレレーンと携帯のメール受信音が鳴り響いた

差出人は……レンからだ!!



『えっと…「今日は少し遅くなりそうだ、すまない…その代わり美味しいマカロンを買ってかえるから楽しみに待っててくれ……」』








…レン、今日もまた遅くなるんだ


最近、なんだかレンはいろいろと忙しい見たいでよく今日のような連絡が私のもとに入るのだ

寂しいけど…仕方ないよね
大人しくレンを待ってよう!



あっ…その間、暇だからちょっとその辺の街までふらふらしにいこうかな
服とか買いたいし!


そう思い、私は早速外へ出る準備を始めた




















+++++++






『ふんふふんふふーん♪』



あれから数時間たった頃
買い物を終えた私はかなり上機嫌だった


正確には買い物を終えたことよりももう少しでレンに会える喜びからなのだが…






『早く連絡こないかな〜?』




そんなことを思っていたら…









「…アイツとの関係は……もう終わらせる」


「そう…なら私のところに来るのね?」






少し離れた所から男女の声が聞こえた


ただのカップルのイチャイチャならよく聞くものなので別に反応なんてしないのだが…この二人の会話はそんなものじゃない

何、浮気?二股?
まぁ…私には関係ないけど



だがこのカップルに違和感を覚えたのはそこだけではない

あの声…私、聞いたことあるような気が……















「じゃあ…またいつか、レディ」



「えぇ、レンのためならいつでも開けとくわ」











バサリッと私の腕から買い物袋が地面へと落下する



脳髄の奥まで染み付いたあの声
そしてあの女が呼んだ男の名前…


間違えるはずない、間違えるもんですか…



すぐ近くで私の存在など気づかずに女と話し込んでいるのは…紛れもなく私の恋人だった













『う…そ……』








私はその場から一歩も動けなかった


しばらくしてレンと見知らぬ女が消え去ってからようやく私の体に変化が現れる


頬に伝う生暖かいもの
それは地に落ちるとともじわりじわりと沈み込み、跡だけを残して消えた…









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