短編

□貧血LOVEパッション!!
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性別という名の贔屓

これは人間皆、1度は感じたことがあるであろう


男は力が強くて羨ましい
女は大人に優しくされる



…しかし今私の身に起こっている出来事はそんな次元を遥かに越えているのだ

何故私は女なんぞに産まれてしまったんだ…ッ!









『うおぉおおおお…ッ!
せ、生理痛めぇぇ……!!』





そう、女の敵……
生理だ………ッ!!!








「名無しちゃん、大丈夫…!?」


『は、春歌ちゃん……』




しゃがみこみ悶え苦しむ私の耳元に天使の声が響き渡る
同じクラスの友人、春歌ちゃんだ


あぁ、本当に優しいなぁ……いだだだだッ







『ノープロブレム!大丈夫、大丈………うおぉッ!!』


「ほら、大丈夫じゃないじゃないですか!やっぱり体育は休んだ方がいいんじゃ『それはヤダッ!』







次の授業は体育

いつもならばすぐにこの治療法のない腹痛を理由に休むのだが今日は絶対にダメだ…!


何故ならば………








「おーい!名無し、七海〜!!」


「あっ、一十木くん」

『………!』


「やっと見つけた!姿が見当たらないから探したんだよ?」


『ゴメンゴメン…でどうしたの?』


「イヤさ…名無しと昨日約束したじゃん?俺、今日サッカーの試合で点決めるから…それ見ててって!」







…そう、これなのだ
私が今日休むわけにはいかない理由

昨日、音也と「明日の体育はサッカーだね」みたいな話になってこんな流れに…









『うん、もちろん見るよ!頑張ってね、音………ふぐっ!!』



ま、また腹痛がぁあああッ!!








「…ん?どうしたの、名無し……?」


『え、イヤ…何でもないよッ』


「そう……?」

『う、うん!!』







……危ね〜ッ!!
流石の音也にも『あっ、生理痛なんです』なんて言えねぇよ!

むしろ音也にだからこそ言えないわッ!



音也に痛いところをつかれた(肉体的なことじゃないよ!)私を見かねたのかそこで春歌ちゃんもフォローをしてくれ…

しぶしぶ音也はグラウンドの真ん中へと戻っていった









『……ふぅ〜…ありがとう、春歌ちゃん』


「いえいえ、流石に好きな男の子に生理だなんて言えないもんね!」

『ぶっ……!!』




ちょっと、待った!!

今、春歌ちゃんから聞き捨てならない言葉が聞こえたんですが…ッ!?










『わ、私が音也を好き!?
ないないないない……ッ!!』


「えぇ〜……?」


『天使の笑顔のまま「えぇ〜…」って言われても困るっ!』


「まぁ、今はそういうことにしておきます♪」


『今はって何、今はってぇえええッ!!!!』







そうして私は春歌ちゃんに弄られ、周りから好奇の目に晒されつつも…体育の授業が始まったのだった








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