クレイジー≠トリッパー

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ピピピピッ ピピピピッ



忙しなく鳴り響く目覚ましの音と少しの日差しで目が覚める


しかし視界に入ったのはいつもとは違う天井











金『…ここ、どこ……?』




そう呟きながらアタシは思わず目を見開いた












朝『あら…ついに優香もせいなと同類になっちゃった?』

金『えっ、誉!?なんでアタシの家に…』


朝『…ここは寮だよ〜』

金『寮?……っあ!』









そうだ、思い出した…
アタシたち昨日、うたプリの世界にトリップしたんだ

…夢じゃなかったんだ









朝『朝ごはん用意できてるよ…?』


金『朝ごはん…?』







ごはんという単語に反応したのか少し寝惚けていたアタシの意識は完全に回復した


見ると机の上には美味しそうな目玉焼きにトースト、サラダにアタシの好きなカフェオレまで置いてあった

簡単なものだけど…アタシのために作ってくれたと思うとすごく…嬉しい








金『いっただきまーす!』


朝『…ふふっ、どうぞ召し上がれ』








黙々とごはんを食べるアタシを見ながら誉もゆっくりトーストを口にする


ん〜…、美味しい!!














朝『……ねぇ、優香』

金『ん、どうした?』


朝『私ね…今すごく安心してるんだ』


金『……何が?』








驚いた…誉がいきなりこんな脈拍のない話を……

でもなにがどうしたんだろう?










金『…もしかしてトリップ関連?』


朝『……………。』


金『やっぱり……』


朝『…私、怖かった……私たちが来たせいでこの世界に何らかの影響を及ぼすんじゃないかって』

金『…影響?』



朝『うん、でも見た限りでは特に変化は起きていない…春歌ちゃんもしっかり存在してるしキャラのみんながみんな私たちを気に入ってるというわけでもなかった…』












きっと誉は夢小説によくあるトリップ補正のことを言っているのだろう


トリップ補正とは……
別世界にトリップした女の子たちがあり得ないくらいキャラとの出会いが大幅に多かったり、キャラたちがその子たちのことを好きまくる現象のことを言う

まぁ、所謂逆ハー補正ってやつ?









朝『私はみんなをキャラではなく人として見たいんです…出会いはまだしも、みんなが操り人形みたいになるのはみたくない…』


金『…それはアタシも同じだよ?二人には悪いけど…翔の反応やトキヤの涼花への原作通りのキツい言葉も……ちょっと安心したんだ』









そう、つまりは怖いんだ
アタシのせいで彼らが変わってしまうのが…

他のメンバーも顔には出してないだけできっとそう思ってる









朝『ふーっ、優香のおかげで吹っ切れた!!…ごめんね、朝から暗くしちゃって』


金『そんなことないよ……さて、そろそろ学校行く準備をしなきゃね』


朝『……うん!』










そう言いながらアタシたちは席を立った

テレビに映る朝のおはやっほーニュースがトリップしたという事実を物語っている





「おはやっほ〜!全国一千万のHAYATOファンのみんな元気かにゃ?」






金『…………うわぁ』




本当にトキヤと瓜二つだな、おい

昨日クラスの女子がHAYTO様だなんだと騒いでいたのを思い出す
そういえば…双子だとかトキヤが言ってたっけ


…しかし最近の子はこういうのがいいのな
お母さんには分かりませんわ〜











朝『優香〜?早く用意すませないと遅れるよ〜』

金『そうだそうだ……はーい!』







誉に返事をしてテレビの前から離れる


…今日はどんなことが起こるのだろうか
そんな期待に胸を膨らませながら









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