クレイジー≠トリッパー

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早乙女先生の指示で特別授業を受けることになった私たち6人とそのパートナー

皆、合図と共にそれぞれバラバラに散らばっていった



もちろん私と一ノ瀬くんも例外ではなく、二人でアイドルの証を探すために長い長い廊下をたんたんと歩いてるんだけど…






杉『……………。』


ト「…………。」





…分かりきってたことだけど、やっぱり無言になっちゃうんだよね……


一ノ瀬くんとパートナーになった時は本当に嬉しかった
だって画面越しにずっと見てきた彼が目の前にいて、私の相棒だなんて…まさに夢のような出来事


…しかしまさかの3秒でのパートナー解除の申し出


そりゃ、1日2日でお互い気を許すくらいになれるほど人間お気楽ではない
だが…それにしても私たちはパートナーとしてやっていくには壁を作りすぎている



だからこそ今回、一ノ瀬くんの役にたとうと思ったのに…っ








杉『ハァ……』


思わず漏れた小さなタメ息


とりあえずせめて身体的距離だけでも埋めておこうと思い、私は目の前を歩く一ノ瀬くんに駆け寄ろうとした



……………だが




カチッ……


杉『へ…っ?』



何かボタンのような物を押した音が聞こえる

どうやら一ノ瀬くんもその音に気がついたみたいでこちらを振り返っていた


よく見ると私の踏んだ部分の床がスイッチのようになっていて…







杉『ま、まさか…』







そして…私の立っていた部分の床が……


パカッ!!
と開いた……









杉『きゃあああああッ!?』


ト「なっ……危ないッ!」





一ノ瀬くんの腕が私の体へと伸びる

しかしそれも虚しく…私たちは二人とも奈落の底へと突き落とされたのであった…












杉『やぁあああああッ!?!?』


ト「…………ッ」








ドガーンッ!!



大きな落下音

それがそこそこの高さがある場所から落とされたことを物語っている


でも不思議と体はあまり痛くなくて…何か暖かいものが私を支えていた

…考えなくたって分かる
それが人の腕だって

でも……ということは











杉『い、一ノ瀬くん!!』




私の体を抱きしめ庇っていたのは…トキヤだった






ト「……怪我は…ないですか?」

杉『う、うん…でも一ノ瀬くんが…』

ト「私は大丈夫です…から」






口ではそう言っているが…上から落ちてきたのだ、相当の衝撃だっただろう

それに彼の表情は痛みを耐えるような…苦しそうなものだった


あぁ…私のせいで……っ








杉『ご…ごめんなさっ、…私』

ト「…どうして謝るのです……顔を上げてください」


杉『……それは無理、です』


ト「…泣いてるんですか?」


杉『…う…泣いてっ、なんかない、です…っ』








その言葉とは裏腹にポロポロと目からこぼれ落ちる涙

それを見るたびに思う
自分は……弱い







杉『ぐすっ……ぅ、あ』

ト「何故泣くのです……私が怖いですか?」


杉『違っ…います……そんなんじゃ…』


ト「いや…多かれ少なかれ貴方は私に対して恐怖を抱いていた……傷ついたでしょう、あんなこと言われて」







あんなこととはパートナー決めの時の一言だろう

今日昨日の話だが言葉そのもののインパクトのせいでしっかりと脳裏に焼き付いてしまっている



私はトキヤの言葉に返答をしようとゆっくり口を開こうとした




………だが






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