雪ノ欠片


□第3
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日が高くなった京の町をひたすら歩く
優香が今向かっている場所は西本願寺

西本願寺から島原大門までの路地にいき、あのおばあさんを探し出すつもりなのだ

(何百年も同じ位置に建っている建物を知っていてよかった…)

ただ、もっと歴史ちゃんと勉強しておくんだったな…と優香はつぶやいた

土地勘のない優香にとって、有名なお寺を探し出すことでさえ容易ではなかった
しかも、着慣れない着物、窮屈な晒、まだまだ暑い日ざし…
いくら体力に自信があるといっても、優香はどんどん体力を奪われていった

(下に洋服なんて着るんじゃなかったぁーっ!!)

後悔するも、着物を一度脱いだら、ちゃんと着れる自信なんてまったくもってない
諦めて歩き続けている


優香が西本願寺に着いたときには日はかなり高く、ゆっくりと傾き始めていた

『と、遠かった…』

朝市の場所は西本願寺とは真逆の方向だったようだ
優香は少し遅めの昼食をとり、島原へ向けて歩き出した

路地に入っては戻って、迷っては人に聞いて…
それを繰り返し、おばあさんを探す


優香が気が付いたとき、おばあさんの姿も机もなかった
…この時代でおばあさんを見つけだすことは無理なのかもしれない
だけど優香にとっては唯一の手がかりなのだ


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