雪ノ欠片
□第8
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怒り・好奇・戸惑い・疑惑…
皆、それぞれに感情を瞳に映し、優香を見遣る
…どの瞳の奥底に燻っているのは敵意だろう
『・・・私は・・・・私がこれから話すことは、多分・・・とても信じられない様な・・・ことだと思います・・・』
重々しい空気の中、優香はやっと口を開いた
『・・・ですが!私は、新選組に害をな「・・・ちょっと待った!!」す、つも・・・・??』
優香の言葉を遮ったのは近藤だった
「・・・どうした、近藤さん」
土方が尋ねる
「・・・どうして君がその事を知っているんだ!?」
近藤の声色は少し慌てている様だった
『・・・え?』
「・・・しんせん・・・ぐみ?」
藤堂が不思議そうに呟く
(・・・あっ!!)
優香はそうか!と、ある事を思い出す
「・・・近藤さん、いったいどーしたってんだ?」
様子の可笑しい近藤に原田が聞き返す
『・・・あ、あのっ・・・』
「・・・皆にまだ言ってなかったが、先日・・・会津公に謁見した際、浪士組に代わる、新しい隊名を頂戴したのだ。・・・事が落ち着いたら、皆に相談しようと思っていたのだが・・・・・・その名をなぜ、君が・・・」
【新選組】と言うのは、会津藩松平容保公が直々に考え、近藤に授けたのだという
一斉に優香に視線が集まる
(・・・皆そんな睨まなくてもっ・・・)
皆の瞳の奥に燻っていたはずの敵意が、浮き彫りになる