Runaway train

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キーンコーンカーンコーン
どこの学校でもお馴染みのチャイムが鳴り響く。きっとこれは全国どの都道府県でも同じだろう。これじゃいけないって決まりでもあんのか?いっそなんか別の、聞く度にテンション上がるようなチャイムにしてくれればいいのに。


「お、終わりか。じゃあ今の作業が終わり次第、休憩に入れ」


教科書や参考書を抱えて教室を出て行く教師を横目に、俺は大きく背伸び。古典の授業は肩が凝る。
と、そんな俺の耳に高い声が響く。


「もおおなまえ!次体育よ!嫌だなあ!ここは同じ運動音痴として一緒にスキップして行きましょう!」

「わかった!スキップしよう!腕組んでスキップしよう!」

「じゃあ更衣室までどっちが早くつけるか勝負ね!」

「あ!私も混ぜて!」

「私もスキップするわ!」

「おおみんなまとめてどんと来なさい!行くぞ、野郎共!」


今日この頃気付いたことその一、みょうじはクラスのリーダー的女子と仲が良い。今もそいつのそばにいるから、必然的にみんなの輪の中心にいる。
そしてその二。これは今気付いたのだけれど、あいつはあれだけの運動能力を持ちながら、学校ではその力を隠すどころか、運動音痴の振りを貫いているらしい。今も更衣室へとスキップする大群衆の最後尾にいる。普通は気付かないだろうけど、よく見るとその動作は少しわざとらしい。
かく言う俺は、みょうじが気になってしょうがないらしい。昨日あんなに言って、我ながらなんか恥ずかしくて、既に真っ暗だった夜道を全力疾走したからな。さすがに送ると言われた時には、その男らしさに吃驚通り越して焦った。


「高尾、次は体育なのだよ。着替えに行かないのか」

「お、真ちゃん優しい!何今日は人に優しく接したらハッピーなの?」

「違うのだよ。ただお前が上の空なのは珍しいからな」

「…気になることがあるんだよな」



そう言うと何がおかしかったのか、真ちゃんは一瞬目を見開いて、少しだけズレた眼鏡の位置を正した。


「さっさと行くぞ」

「ああ!待てよ、最後にツン発動すんな!」
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