Runaway train

□…
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「真ちゃん先帰っててよ」

「言われなくてもそうするのだよ」

「ひっでえ」


ちょっと格好良く見せたかった。テスト休みで部活がなく、体力が有り余っていた俺は、そんな軽い気持ちで乗り込んだ。
どこにって、ナンパ男に絡まれた女の子を助けにだよ。決まってんだろ。


「困ってますよ。お兄さん」


女子の肩に手を置いていた男の手を掴む。と、影になっていたビルの間から、柄の悪い男達が、ぞろぞろと出てきた。やべこれ、死亡フラグ?


「ヒーロー気取りか?あ?」

「調子乗ってんじゃねえよ!」


一人ならなんとかいけるかと思った。でも、これは反則。だってこれ、両手使っても数えられない人数ですもの。
この時俺は後悔した。変な見栄張らなきゃ良かったと。格好悪いのは重々承知だ。それに、あの女の子は薄情なことにもう逃げて行ってしまったから、もはや逃げるのもありかもしれない。


「何か言えやオラァ!」


大坪さん並にがたいのいい男に胸倉を掴まれ、傷だらけも覚悟したその時。


「うわぁ!」


鈍い音が響き渡り、目の前の男が叫ぶ。まさか真ちゃん、そんな期待を込めてその要因を見れば、そこには、跳び蹴りをしたらしい女の、水玉のぱんつが目に入った。
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