Runaway train

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一週間と言う約束も、きっかり月曜日から日曜日、という訳でもなく、3日目の今日は土曜日だ。
昨日休んだから、めっちゃ意気込んで始めた稽古も残すことあと少し。なまえちゃん直々の基礎練、みんなに合流しての型の練習、何人かとペアになっての組み手。なんだか妙に馴染んでいる俺は着々とこなし、あとは今現在の宮野さんとの練習試合を残すばかりだ。
目の前の宮野さんも、なかなか集中していて、普通にしてても鋭いその目は、更に鋭さを増している。もともと顔の整った宮野さんだから、うっすらと汗ばむ肌には魅力たっぷりで、女だったら惚れんのかなって一瞬思ったけど、よくよく考えれば結婚するなら中田さんだななんてありもしない事を考えていた時。

バンッ

遅れて体に痛みが走る。やべ、一瞬何が何だかわかんなかったけど、今俺、宮野さんに投げられたわ。


「おいおい、他の事考えながら俺に勝てると思うなよ?よし、高尾この後ラーメン奢れ」


審判の試合終了の掛け声を聞くなり、宮野さんはケケケ、と笑いながら歩いて来て、座り込む俺を見下ろした。
だよなぁ、集中しなきゃ勝てないのもわかるけど、初めて3日目の俺に宮野さん当てる椿さんもどうかと思いますけどね。でもまあ、小さな女の子、例えば、俺がバスケ部だと聞くなりやたら一緒にバスケしようと誘うすみれちゃんとか、どれくらい遠慮するべきかわからないからごめんだけど。


「嫌ですよ」

「ああ?いいのかお前、」

「何スか…?」


ニヤニヤして、口元を俺の耳に寄せる宮野さんに嫌な予感がする。


「いいのか?昨日お前がお嬢泣かしたこと、みんなにバラすぞ」

「はあぁぁ!?何でそれ、」

「太一さんをナメんなよ。いくら目冷やしたって、わかる奴にはわかるんだよ」


百歩譲ってそうだとして、何で泣かしたの俺だって決めつけんだよ。まあ、あながち間違いじゃねえけどよ。信用ねぇんだな、俺。


「どうする?俺にラーメン奢るの、断る?」

「…いや、奢ります」

「よしきた」


心底嬉しそうに、俺の腕を引っ張って起こす宮野さんには、ため息しかでない。この人、性格悪い。


「おい、礼まだだぞ」

「「はい」」


完全に稽古モードの椿さんの一括に、すぐさま定位置に戻り、礼に終わる。


「よし、今日は終わりだ」

「「「ありがとうございました!!」」」


稽古終わり、ちびっ子共に絡まれる前に着替えようと早々に歩きだすと、宮野さんの声が道場一杯に響く。


「おいお嬢、高尾がラーメン奢ってくれるってよ!」

「え、」

「アシタカありがとう!」

「高尾くん、ありがとうございます」

「中田、てめぇは呼んでねぇよ!」


なまえちゃんも呼んでねぇよ!何でそんな目キラキラさせんだよ!中田さんもキラキラだよ!


「(ああもう!)どんと来やがれ!」
 

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