Runaway train

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「え?何それ、どういう集まり?」


これは、従兄弟作戦決行だ。そうしかない。懸命に言い訳を考える俺だったが、先に中田さんが口を開く。


「お嬢が学校で一緒に雑用してた所を拾いましたので、一人だけ帰すのもどうかと思いまして、ついでですから一緒にどうかと」

「そうそう!要さんには、お嬢に変な虫が付いてないか調べとけって言われてんだ!」


辻褄が合ってる風な話だが、ついに詳しい名前が出てきたことに、俺は驚いた。"カナメさん"、兄ちゃんだけなら嘘とすまされるそれだったから、俺は気になってしょうがなかった。


「宮野と中田って、なんか秘密多いっぽいよな。忙しいとか言って部活入らねぇし」


一同なかなか納得するなか、唐突に疑問を口にしたのは伊月さんで、なかなか的を得た質問に関心してしまう。
と、今まで不機嫌だった相田さんが、目をキラキラさせて宮野さんに詰め寄る。宮野さんは鬱陶しそうな顔をしながらも、いつもみたいに軽口を叩いたりしなかった。恐るべし相田監督。


「本当、ムカつく奴だけど、身体数値はすごく高い!ねえ、やっぱりバスケすべきよ!」

「馬鹿野郎、俺は道場の稽古で忙しいんだ。この通り、要さんからの頼みだってこなさなきゃならねぇ。太一さんは忙しいんだ。中田にでもあたるんだな」

「いつもそれ!まあ、中田くんもいいもの持ってるわよね!ちょっと、上だけで構わないからここで脱いでくれる?」

「おい監督、ここは流石にまずいだろ」


日向さんに止められた相田さんは、残念そうに視線を落とした。が、その先にはなまえちゃん。やっぱりわかる人にはわかるらしく、その目は再度キラキラ輝く。


「なまえちゃんって、言ったわね?」

「あ、はい…」

「ちょっと、上脱いで…」

「「「止めろおおぉぉ!」」」


すぐさま止めにかかったメンバーにより、見事阻止される。よかった、非常によかった。


「はい、ラーメン三丁!すぐに残りもお出ししますね!」


いつの間に頼んだのか、次々に運ばれてくる品々に、話が中断したかと思われた。だが、


「今からちょっとそこの公園で、触りだけやってみない?」

「え、えっと…」

「いいんじゃね?お嬢もたまには息抜きしろよ」

「あら、宮野もたまには良いこと言うじゃない!」

「俺の紡ぐ一言一言が名言だ」

「やっぱダメね」


そこまで言われた宮野さんは、ため息をついて前屈みになり、なまえちゃんの耳元に口を寄せ、何か話しているようだった。


「わかった」

「ほらお嬢やるってよ、よかったな相田!つうことで俺ら先公園行ってっけど、ゆっくり味わって食って来いよ!」


そう笑った宮野さんは、心底嬉しそうに俺に向き直った。


「おい高尾、ちゃんと奢れよ?」

「忘れたんじゃなかったんスね」

「ん?まさかお前、このメンツの前でバラされたい訳?うわあ、こりゃガキ共より数倍キツいわ」

「わかった!わかったりましたよ!」

「わかればいいんだよ」


いまいちよくわかっていない誠凛のメンバーの中を突っ切り、レジへと向かい、ポケットから財布を出す。と、そこで最後の追い討ちが来る。


「緑間くん元気ですか?」

「ウザイくらい元気」

「おお!早く戦いてぇ!」

「お前らも(ウザイくらい)元気そうだな!」

 

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